放送内容

第1661回
2023.02.05
かがくの里 の科学[海外進出SP] 場所・建物

 人の手が入らず荒れ地だったかがくの里。水を引き込み、田んぼを作り、さまざまな先生方に支えられ、今では様々な生き物が姿を表すように!そんな生物多様性が増すかがくの里の映像が、去年の12月、カナダのモントリオールで開催された、国連生物多様性条約第15回締約国会議、通称COP15の会場で流されたんです!そして、スタジオには、知の巨人“養老孟司”さんと里の母屋の設計をしてくださる“隈研吾”さんをお迎え!
 今回の目がテンは、かがくの里海外進出スペシャルです!

生物多様性条約の国際会議COP15を取材!

 佐藤アナウンサーが訪れたのは、日本からおよそ1万km、カナダのケベック州にあるモントリオール。ケベック州はフランス語が公用語として使われるため、別名「北米のパリ」と呼ばれており、建物や町並みにはヨーロッパの雰囲気が漂っています。ここで開催されたのが、国際会議COP15。その議題は、生物多様性!
 これまで、地球の歴史上、「生物種の大量絶滅」が、5回あったとされています。その原因は、地球環境の激変でした。6600万年前、5回目の大量絶滅では、恐竜が地球上から消えました。そして今、世界の科学者たちが警告しているのが、迫りくる「第6の大量絶滅」!
 その原因は、私たち「人間」。人間が行った森林伐採などの自然破壊で、環境が大きく変化。これまでにないペースで数百種の生物が地球上から消え、今も多くの種が絶滅の瀬戸際に立たされています。その結果、地球の生物多様性が失われているというんです。
 生物の絶滅を防ぐだけでなく、さらに生物を増やしていくにはどうすればいいのか?それが、COP15のテーマなんです。

 キーワードは「ネイチャーポジティブ」。2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させることを目標に、各国の担当者たちが様々な会議を行い、ディスカッションしています。生物多様性の回復に向け、新しい世界的な枠組みを決めるため2週間以上議論を積み重ねていました。この会議にはホスト国カナダのトルドー首相や、国連の統括を務めるアントニオ・グテーレス国連事務総長。日本からは西村環境大臣が参加しました。

COP15参加国の取り組みとは?

 会場には、参加国の取り組みを示す展示ブースがあります。カナダのブースに展示されていたのは、カナダの先住民族イヌイットをテーマにしたアート。アートを通じて、カナダの自然の中で、持続可能な暮らしをしてきたイヌイットに注目。自然と共存し、生物多様性を守る知恵を探るブースになっていました。

 続いて、カメルーン。カメルーンは、アフリカ大陸西南部に位置する国。カメルーンには多くの生物が暮らす自然が残されているといいます。例えばアフリカ大陸で最大規模を誇る熱帯雨林、世界遺産「ジャー動物保護区」。保護区のおよそ90%が手つかずの大自然で、人の出入りも厳しく制限しています。絶滅危惧種ニシローランドゴリラを含め、100種以上の哺乳類が生息する楽園になっているそうです。
 そして、200以上の民族が暮らす多民族国家カメルーン。展示されていたのは、自然と共存するように暮らす、フルベ族の家。組み立て式のわら造りの家で遊牧生活をしながら、フルベ族は、自然に負担をかけない昔ながらの暮らしを続けているそうです。カメルーンのブースでは、豊かな自然の保護だけでなく、自然と共存する伝統的な暮らしをする人々にも着目。
 各国がそれぞれ、生物多様性を回復する「ネイチャーポジティブ」に向け、取り組んでいることがわかりました。

COPで流したかがくの里VTR

 世界各国が、自然や生き物を守り、そして回復させる取り組みをそれぞれアピールする展示ブース。その一角にある日本のブースには、環境省と農林水産省の展示がありました。

 見つけたのは、世界農業遺産の展示。世界農業遺産は、生物多様性の損失や環境への負荷を軽減する手法で営まれている伝統的な農林水産業を、国連食糧農業機関が認定しています。現在、世界中で23カ国、72の地域が認定を受けていますが、日本では、13の地域が登録されており、かがくの里と友好関係になっている能登半島、白米千枚田もその中の一つ。

 そして、国際会議COP15の会場で目がテンの映像が!

 今回、COP15で日本が最も強く世界に発信したかったのは、日本の特徴的な自然ともいえる「里山」の存在。目がテンは、環境省と共にかがくの里の歩みを再編集!“日本の里山”を世界にアピールできるVTRを作りました!
 と、そこに先程訪れたブース、カナダとカメルーンの方が、映像を見にきてくれたんです。海外の人たちに、人の手が入る事によって回復する自然“里山”はどう映るんでしょうか?
 VTRでは、まず里山がどう再生してきたのかを説明。そして、取り組みによって生物多様性が増したことを説明!ため池で見つかったヤゴ、さらに絶滅危惧種ミズスマシ、昆虫ブロックのラストは巨大なタガメ!続いて、かがくの里の生物多様性の象徴、フクロウ!そして、クライマックス!所さんの名曲「忘れられた梅の木」が世界で流れます!最後に、養老先生のコメントも紹介しました!
 見にきてくれたカナダとカメルーンの方もかがくの里の映像に興味津々でした!