展覧会について
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  • メッセージ
  • 男鹿和雄とは
  • 展覧会のみどころ

  • 男鹿和雄の魅力
  • プロフィール

男鹿和雄とは
男鹿 和雄(おが・かずお)
1952年秋田県生まれ。72年から多くのアニメーション作品の背景を手がけ、スタジオジブリには「となりのトトロ」の美術監督で初参加。以降「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」「もののけ姫」で美術監督を務めるほか、ほとんどの作品で背景を手がけている。現在はフリーとして、背景美術以外にも挿絵や絵本などの分野で活躍。スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」(宮崎駿監督)に参加。出版物として「男鹿和雄画集」「男鹿和雄画集II」、画文集「第二楽章」(吉永小百合編)、絵本「ねずてん」(山本素石原作)、「ウミガメと少年」(野坂昭如作)、DVD・絵本「種山ヶ原の夜」(宮沢賢治原作)がある。
男鹿和雄の魅力
「男鹿さんの描く絵では空気も澄んでいます。 風が吹けば、木々は葉をさらさらと鳴らしてくれそうです。」 ―高畑 勲 (『男鹿和雄画集』(1996)より)
「『となりのトトロ』の世界の味を出しているのは、男鹿さんの美術だと思っています。」 ―宮崎 駿 (「となりのトトロ」ロマンアルバム(1988)より)
トトロの森を描いた人
アニメーション美術において、そのキャリアと実力を高く評価されていた男鹿和雄は、「となりのトトロ」で初めてスタジオジブリ作品に美術監督として参加。ここで、監督の宮崎駿に出会った。自然の風景や森の動物、植物に特別な思いを持つ男鹿は、人間的な温かさと、深く柔らかく、鮮やかな色合いとを持った素晴らしい背景画を描き、トトロの数々の名シーンを支えた。サツキがメイを探すシーンでは、暮れ行く夕日の風景が、サツキの不安な心持ちを映し出した。
「アニメーションの美術は、映画の品格を決める決定的な役割を持っている」と語る宮崎駿。その後の映画作りにおいても、男鹿和雄は欠くことのできない大切な存在となった。
2.“絵職人”男鹿和雄へのスタッフからの厚き信頼。
男鹿和雄は、高畑勲監督作品「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」でも美術監督を務めた。特に「おもひでぽろぽろ」では、舞台が紅花の産地山形となったが、これは高畑勲が、男鹿和雄の出身地が東北地方であることを考えてのものだった。その結果描かれた、紅花畑をはじめとする美しい背景画は、写真と間違えられたというエピソードを持つほど真に迫るものだった。
その後、「もののけ姫」で美術監督(共同)を務めた男鹿は、その他の作品でも、実力を頼りに重要なシーンでの背景を任されている。「千と千尋の神隠し」では、千尋が不思議の世界に迷い込む前に象徴的に描かれた巨木のあるシーン。「ハウルの動く城」では、ソフィーがハウルの原点に触れるきっかけとなった広大な花畑のシーン。男鹿和雄に対するスタジオジブリのスタッフの信頼は、厚い。
一言で表せば”瑞々しさ”。光、風、そして匂いまでも感じさせる作品を支えるもの。
「自然の風景や植物には定まった色や形は無い」と語る男鹿和雄は、描く風景の参考にしたい場所を実際に歩いて確かめる。秋田出身の男鹿は、山菜やキノコを採り、魚釣りや川遊びをして少年時代を過ごした。彼はその体験が、絵を描くにあたっての財産であると感じているが、歩き観察することで、更にその財産は積み重なる。穏やかな人柄に潜む、徹底した仕事に対する厳しいこだわりの目線。その作品は、光や風、さらには匂いまでも感じさせる。
その魅力を一言で表せば、「瑞々しさ」。
男鹿和雄の絵には、観る者の心を、清清しく、元気にさせる力がある。
プロフィール
アニメーション作品
1972年 「樫の木モック」(TV)背景
  「ど根性ガエル」(TV)背景
1973年 「侍ジャイアンツ」(TV)背景
  「パンダコパンダ雨ふりサーカス」(劇場)背景
1974年 「はじめ人間ギャートルズ」(TV)背景
1975年 「ガンバの冒険」(TV)美術設定、背景
1977年 「家なき子」(TV)美術設定、背景
1978年 「宝島」(TV)美術監督補
1979年 「エースをねらえ!」(劇場)背景
  「アンネ・フランク物語」(TV)背景
1980年 「坊ちゃん」(TV)背景
  「あしたのジョー2」(TV)美術監督
1981年 「ユニコ」(劇場)美術監督
  「あしたのジョー2」(劇場)美術設定
1982年 「SPACE ADVENTURE コブラ」(劇場)美術監督補佐
1983年 「幻魔大戦」(劇場)美術
  「はだしのゲン」(劇場)美術監督
1985年 「カムイの剣」(劇場)美術
1986年 「時空の旅人」(劇場)美術監督
1987年 「妖獣都市」(劇場)美術監督
1988年 「となりのトトロ」(劇場)美術監督
  「夏服の少女たち」(TV)美術
1989年 「魔女の宅急便」(劇場)背景
1991年 「おもひでぽろぽろ」(劇場)美術監督
1992年 「紅の豚」(劇場)背景
1994年 「平成狸合戦ぽんぽこ」(劇場)美術監督
1995年 「耳をすませば」(劇場)背景
  「On Your Mark」(プロモーションビデオ)背景
1997年 「もののけ姫」(劇場)美術監督(共同)
2001年 「千と千尋の神隠し」(劇場)背景
2002年 「猫の恩返し」(劇場)背景
2004年 「ハウルの動く城」(劇場)背景
2006年 「ゲド戦記」(劇場)背景
展示

1999〜2000年 「コロの大さんぽ」(三鷹の森 ジブリ美術館)
2002年〜 「『第二楽章』原画展」(広島ほか全国各地)
2004年〜 「男鹿和雄の世界」(大手町ミュージアム)
2005年 「原爆詩画集『第二楽章』の世界」(フィリア美術館)
2006年 「『ねずてん』原画展」(イハラハートショップ)
2007年 「ジブリの絵職人 男鹿和雄展」(東京都現代美術館)
作品集・挿画・イラストレーション

1993年 『LETTERS−赤鬼からの便り』(徳間書店)口絵
1996年 『男鹿和雄画集』(徳間書店)
1997年 『映画興行師』(徳間書店)口絵
1998年 『詩画集 小さな祈り』(汐文社)画
2000年 『第二楽章−ヒロシマの風』(角川書店)画
  『第二楽章 長崎から』(講談社)画
2003年 『ねずてん』(アインズ社)作画
2003年〜2004年 『1960年代 秋田・遊びの風景』(スタジオジブリ発行『熱風』掲載)
2004年〜2005年 『1960年代 秋田・食の風景』(スタジオジブリ発行『熱風』掲載)
2006年  DVD『種山ヶ原の夜』脚色・作画・演出(ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント)
   絵本『種山ヶ原の夜』(徳間書店)翻案(絵と文)
2007年 『ジブリの絵職人 男鹿和雄展 トトロの森を描いた人。』
(ウォルト ディズニー スタジオ ホーム エンターテイメント/DVD・ブルーレイディスク)
2008年 『ウミガメと少年』(徳間書店/絵本/画)
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