演奏レビュー

日時

2019年11月21日(木)2:34~3:34(水曜深夜)予定
BS日テレ 11月30日(土)朝7:00~8:00予定

11月放送プログラム

プフィッツナー作曲  チェロ協奏曲 イ短調 (遺作)

指揮
セバスティアン・ヴァイグレ
チェロ
アルバン・ゲルハルト

(2019年9月10日 サントリーホールにて収録)


【11月の演奏・聴き所】
音楽プロデューサー 新井鴎子の演奏レビュー

新井鴎子プロフィール
読響シンフォニックライブの構成を担当
クラシック音楽のコンサート・テレビ・ラジオ番組の構成を多数手掛け、長年にわたりその楽しみや魅力を親しみやすく伝えてきた。
音楽祭のディレクターやオペラ・ミュージカルの脚本、執筆活動など〈クラシック音楽〉の分野で幅広く活躍している。
現在、東京藝術大学特任教授。

【プフィッツナー作曲 チェロ協奏曲 イ短調 (遺作)】
20世紀の新しい音楽へと向かう時代の変わり目にあって、かたくなに19世紀ドイツ・ロマン派のスタイルの音楽を貫いたプフィッツナー。このチェロ協奏曲は1888 年、20歳前の学生時代に書かれた作品です。あちこちにワーグナー風のハーモニーが聴こえ、チェロは低音から高音までを縦横無尽に動いてメロディを歌い上げます。この曲をヴァイグレの指揮でレコーディングしているチェリスト、アルバン・ゲルハルトは、さすが自家薬籠中の1曲という余裕を感じさせる演奏でした。体幹がぶれない安定した技術で、華やかというよりは温かい音色が魅力です。ヴァイグレとも阿吽の呼吸。なにか交響詩のような物語性のあるコンチェルトを聴かせてくれました。

演奏者の略歴

セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)
セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)
Sebastian Weigle
1961年ベルリン生まれ。82年からベルリン国立歌劇場管の首席ホルン奏者として活躍後、巨匠バレンボイムの勧めで指揮者に転向。2003年にフランクフルト歌劇場でR.シュトラウス〈影のない女〉を振り、雑誌『オーパンヴェルト』の「年間最優秀指揮者」に選ばれた。04年から09年までバルセロナのリセウ大劇場の音楽総監督を務め、ベルク〈ヴォツェック〉やワーグナー〈タンホイザー〉など数々の名演奏を繰り広げ、評判を呼んだ。07年にはワーグナー〈ニュルンベルクのマイスタージンガー〉でバイロイト音楽祭にデビュー。11年まで指揮し、世界的注目を浴びた。08年からフランクフルト歌劇場音楽総監督の任にある。11年に同歌劇場管が『オーパンヴェルト』誌の「年間最優秀オーケストラ」に選ばれ、15年と18年にも同歌劇場が「年間最優秀歌劇場」に輝くなど、その手腕は高く評価されている。
これまでに、メトロポリタン歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ドレスデン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場などに客演を重ねるほか、ザルツブルク音楽祭、ベルリン放送響、ウィーン響、フランクフルト放送響などを指揮し、国際的に活躍している。読響には16年8月に初登場。オペラでは17年7月の東京二期会のR.シュトラウス〈ばらの騎士〉、今年6月の同〈サロメ〉で共演し、いずれも好評を博した。
アルバン・ゲルハルト(チェロ)
アルバン・ゲルハルト(チェロ)
Alban Gerhardt
1969年ベルリン生まれ。91年ビシュコフ指揮のベルリン・フィルにデビューし、一躍その名を広めた。以後、ソリスト、室内楽奏者として欧米で活躍。マズア、ドホナーニ、ティーレマン、エッシェンバッハ、サロネン、K.ペトレンコらの指揮でベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ロンドン・フィル、シカゴ響、クリーヴランド管、フランス国立管、バイエルン放送響などと共演。J.ヴィトマン、ウンスク・チン、B.ディーンら現代作曲家との協同制作を行っている。
2012年には、ドイツ鉄道とのコラボレーションとして主要駅でライヴを行い、話題を呼んだ。録音も数多く、ヴァイグレ指揮の『プフィッツナー:チェロ協奏曲集』も高い評価を得ている。読響初登場。
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