専次郎さん「俺は使ってもらってるからまだ良い。働けるのは最高だ」
現在、それができない人も多く、そんな人たちの分も、この研究所での仕事に励むことで、県畜産業に少しでも自分の力を役立てたいと、専次郎さんは語った。
そんな専次郎さんに仕事の様子を見せていただくことに。
専次郎さん「エサを与えている途中です」
エサやりは、牛たちを日光浴のために外に繋いでいる間に手早く行われる。
エサは、オーチャードグラスやイタリアンライグラスなど、イネ科の牧草を乾かしたもの。現在は、念には念を入れ、放射能汚染の心配のない安全な輸入乾草を与えているという。

さらに、牧草では補いきれない栄養を与えるため、トウモロコシや油粕、米ぬか等を混ぜた配合肥料、カロチン豊富なアルファルファを加熱乾燥させたヘイキューブ、さらにカルシウムやビタミンなど、バランス良く与えている。
これを常時朝夕の2回、8人体制で約100頭の肉用牛に行う。
達也「大変だね」
そして、最も注意すべき作業が牛を入場させることという。
暴れたら抑えるのが困難なため、牛を移動する際には絶えず大声で確認しながら行う。
種雄牛(子を生むためのオス)1頭1室で30頭の血統品種を飼育。別の繁殖牛舎では、簡易固定で16頭のメスが集団で飼育されている。

続いて、達也が案内していただいたのが、採精場。
ここで、専門家によって雄牛の精子が採取され、その後、検査室で精子の活発さや遺伝子異常の有無を精密にチェックされる。
それを合格した優秀なものだけが、液体窒素で冷却により保管され、人工授精用に血統ごとに出荷される。
専次郎さん「我々もここで採れた種を買って、(メス)牛につけていた」
専次郎さんは、繁殖牛から生まれた育成牛を売ることを生業としていた。
肉となるのは、それを肥えさせた肥育牛。
良い肉になるかどうかは、その遺伝子、種雄牛の血統で大きく左右されるため、これら種雄牛の開発はこの研究所の大きな仕事の一つ。