緑が濃くなるのもいいけれど、最近は刈っても刈っても生えてくる雑草に少々うんざりしている。
 先日いつものように雑草を刈ろうとあぜ道を歩いていると、雑草が変な動きを見せた。
もちろん雑草が動くわけはなく、そっと近寄って見ると、そこにはなんと、私が世界一苦手な「ヘビ」がいた。私はヘビに気付かれないように、後ずさりしながらそっと逃げた。  しかし振り向くと今度は、正面を別のヘビが横切った。顔が真っ青になった。今年は本当にヘビが多くて困る。

 「こんなにヘビが多い村で大丈夫ですか?」と守山先生に聞くと、悪いどころかむしろ生態系が少しずつ良くなっている証拠だと言う。それにしてもやっぱりヘビは怖い。
 でもヘビが怖いのは私だけではない。むしろヘビの餌となる小さい動物達のほうがもっと怖いはず。でも恐れることなく子孫を残し、生活をしている。本当にすごい。
 今年はそんな勇気ある動物の中でも、「シジュウカラ」という野鳥の観察をすることができた。
 以前から村に住んでいたシジュウカラ。今年も村の住人となり私たちが作った巣箱でかわいいヒナを産んでくれた。しかし、そんなかわいいヒナがヘビの危険にさらされた。そのとき私は夢中で巣箱に走った。なんとか無事でいてほしい、みんな生きていてほしい。そのことしか考えていなかった。
 巣箱についた時、私たちの足音を察知したのかヘビは逃げていった。しかし、何匹かのヒナは食べられてしまった。悲しかった。あんなにかわいいヒナを食べるヘビが許せなかった。




 でもよくよく考えると、ヘビだって、ヒナを食べないと死んでしまうのであり、ヘビがいなければ、鳥だけが増えすぎる可能性もある。そうなったら昆虫たちは姿を消し、作物だって全部食べられてしまうかもしれない。そう思うと、ヒナを助けたいという気持ちは人間の一時的な主観でしかないのかとも思った。「野鳥であっても人間であっても命の重さ、尊さは変わりはない、だから助けたい」という考え方もあるけれど「これでヘビを追い出せば、自然の生態系を崩すことになる」という考え方もある。本当に自然と人間の共存は難しい。

 人間が手を入れることによって良くなることもあれば、人間が手を加えたことによってだめになるものもある。その見極めが難しい。ほんと難しい。
 あと何年かかるか分からないけれど、精一杯悩み、考え、私にできることをやっていくしかない。
 それが分かる頃にはかわいい仔山羊達は、おばあちゃんおじいちゃんになっているかもしれない。

前の週 次の週