放送開始から３９年目に突入した｢ＮＮＮドキュメント｣の新春を飾るのは、命の大切さを見つめ直すサイエンスファンタジー。人間は普段は感じていなくても、実は様々な部分で音を発して生きています。♪目がキョロキョロ…と言うけど実際はどんな音？♪うなずく音や血管を血が流れる音から、誰もがかつて母親のお腹の中で聞いていた懐かしく暖かい音まで…｢光マイク｣という超高感度マイクや高性能聴診器を駆使し、びっくりするほど色々な音を録って聞かせる異色の科学ドキュメンタリー。生きるために発する体中の音を網羅した『命の音』の大辞典＝命の交響楽です。

２年前、大学生の長男をひき逃げ事件で失った夫婦がいる。犯人の男は２日後に出頭。その後、酒を飲んで運転していたことがわかったがアルコール濃度は特定されず、判決は懲役１年６か月。飲酒運転の死亡事故で危険運転致死傷罪が適用されれば最高で懲役２０年。酔いがさめるまで逃げて、飲酒運転が立件されなければ最高でも１５年…。厳罰化が進み、飲酒事故は減少している一方で、ひき逃げの数は増えているという。母は今でも息子の食事を用意する。父は息子の死後飼い始めたインコを見て｢息子の生まれ変わりではないか｣とつぶやく…。夫婦の壮絶な苦しみの日々を追いながら、飲酒運転の被害の深さを伝える。

監督就任から１年。車いすの監督は、歓喜の中にいた…。夢を追い続ける男・羽中田 昌。高校サッカー界のヒーローから一転、事故による下半身不随。しかし彼は、夢をあきらめなかった。安定した職を捨て、スペイン・バルセロナに渡った羽中田はその後、妻の支えや自らの努力の末に、Ｊリーグの監督をするのに必要な国内最高ランク｢Ｓ級ライセンス｣を取得。そして2007年、香川のカマタマーレ讃岐監督に就任した。史上初の車いすのサッカーＳ級監督の誕生だ。彼に課せられたのは四国リーグでの優勝、ＪＦＬへの昇格、さらにはＪリーグへチームを導くこと。しかし、弱小チームにはまともな練習場さえなかった…。

人口520人。４人に３人がお年寄りという山口県の祝島。北海道で牧場長を務めていた氏本長一さん(58)は一昨年２月、母の介護のため41年ぶりにＵターンした。久しぶりに見た島の棚田は荒れ、家畜も姿を消していた。祖父や父が遺した棚田を次の世代に引き継ぎたいと、氏本さんはブタを放し、循環型農業の復活をめざす。ブタは草を食べ、鼻で根を掘り起こしてくれた。島民の支えもあり、半年で６枚の棚田が再生。芋の収穫も始まった。よみがえる棚田とブタの姿が、人々の笑顔を増やした。そして氏本さんらはお年寄りが最期まで島で過ごせるように、島に宅老所をつくろうと｢祝島未来航海プロジェクト｣を発足させた。