セザンヌ  『晩年を生きた家』

(2003/1/15放送)


   
南仏プロヴァンス地方の古き都・エクス。
石畳の街から少し外れた緑の丘にある、一軒の小さな家は
「近代絵画の父」と呼ばれる、セザンヌのアトリエです。


   
晩年、ようやく才能を認められた彼が、生まれ故郷にアトリエを建てたのは、
1901年、61歳のときのこと。


   
セザンヌは、ふもとにあるアパートの一室から、毎日ここへ通っていました。
雨の日も風の日も杖をつき、古ぼけた帽子にしわくちゃのシャツを着て、
老いた身体を感じながら、最後の力を振り絞るように。


 
「なにか自分に自信をもてるものをもつこと。
そして、仕事をすること。
そうすれば、『永遠』を手に入れることができるだろう」


   
 
 
若い頃から、他人に認められなくても、
決してあきらめず、カンバスに向かい続けたセザンヌ。
彼はアトリエにりんごを置き、朽ち果てるまで、絵筆を走らせました。

一個のりんごが、一枚の絵のなかで、永遠に生きる。


 
 
その命を与える仕事に、誇りと自信を持って。


セザンヌ  『晩年を生きた家』

(2003/1/15放送)

今回の放送のBGM♪
 曲  La Vie En Rose<ばら色の人生>
 唄  Brenda Lee

次回(2003年1月22日)の『心に残る家』は
ヘミングウェイ 『家族と暮らした南の島の家』をお送りします。お楽しみに。