工房日誌

♯1 メガうまい棒菓子は作れるか!?2012/3/4

誰もが一度は食べた、穴の空いた「棒状のスナック菓子」。
これを「メガ」級の大きさにして腹いっぱい食べてみたい!
目指すは“メガ"、つまり通常の100万個分、直径2m、長さ11m!
まず、製造方法を知るため、達也と城島が訪れたのは、横浜市の工場。
『オオヤマフーズマシナリー』は、菓子の製造機械を作る老舗メーカー。
技術者の大木さんによれば、あの棒菓子は“発泡菓子"という種類。
揚げたわけでも焼いたわけでもない、発泡した菓子。
それを作る機械が“パフマシーン"と呼ばれる、押し出し機。
構造は原料を入れるタンクと、熱と圧が加わるシリンダーと圧を加えるスクリュー、小さな穴の空いたノズルがあるシンプルなつくり。
原料は、乾燥トウモロコシを砕いた“コーングリッツ"。
これを16%の水分量に調整し、パフマシーンに投入する。
すると、水分の蒸発と同時にコーングリッツが“発泡"、出口の穴のおよそ3倍に“膨張"しながら外へ押し出される。
発泡の仕組みは、シリンダーの溝と回転するスクリューの間で、押し潰されたコーングリッツが、圧力と摩擦熱で温度が150度まで上昇。
そこへ膨張する水蒸気の圧力も加わり、出口で一気に解放される。
このとき、水分蒸発とともに空気穴ができ、膨張するのが発泡現象。
そして、菓子の形や大きさを決めるのはノズル。
噴出口をドーナツ形にすれば、出てくる菓子は中空状になる。
材料がある限り発泡は続くため、長さはいくらでも長く出来る。
ならば、あとはもっと太くするための工夫が必要。
まず、達也がシリンダーの代わりに選んだのがドラム缶。
ドラム缶は、薬品や可燃物など入れるため、熱に強く強度もある。
今回、特注のドラム缶を作ってくれるのは『東邦シートフレーム』。
工場では厚さ1.2mmの鉄板を筒型に丸めて成型していく。
その際、「折り曲げると強度が増す」という金属の特性を利用し、まだ柔らかい鉄筒の内側から溝を押し当てて、“輪帯"という帯をつくる“輪帯加工"という補強を施す。
これにより、硬さはそのままで、格段に変形しにくくなる。
そして、特注のフタ・底なしのドラム缶も出来上がり、これをシリンダーに使えば、計算上、直径23cmまでは発泡可能。
次は、スクリューで強い圧力をかける装置を探す。
重機のレンタル業者『潟純Lタ』で城島の目に止まったのは、“穴掘建柱車"。
建物の基礎や電柱を立てる穴を開ける重機で、ドリルを回転させれば、土や砂利を掘り起こしたり、押し込んだり出来る。
部品も揃い、さっそくパフマシーンを組み立てる。
ドラム缶にはシリンダーの溝代わりとなる角材を溶接。
発泡の直径と形を決めるノズルは、大木さんが用意してくれた。
だが、不安要素としてドリルとシリンダーの隙間が実物より広く、さらに冷たい外気が妨げとなり、圧力と摩擦熱が足りなくなる。
そこで、ヒーターで外から熱を加え、水分の蒸発と発泡を助ける。
そうしてついに、『メガ パフマシーン』が完成!
材料のコーングリッツは水分量を50%にし、粘度を増す工夫。
これにより、一度シリンダー内に溜めてから、すり潰して押し出す作戦。
余分な水分は、ヒーターの熱で蒸発させてしまう。
材料の投入は城島、出てきたら達也が受け取る。いざ稼動!
と、コーングリッツをすり潰し、圧力をかけて押し出していくも、ペーストがノズルの出口付近で硬くなり、詰まってしまった。
原因は、押し出すより早いペースで材料を投入したため、ノズルの中で押し固まり、ドリルが空回りしていた。
気を取り直し、材料の投入ペースを控えめに作業するが、今度は陽が落ちたことで気温が下がり、摩擦熱が発生しない。
ガスバーナーで外から材料自体を温めてみるが、効果なし。
仕方なく翌日に持ち越して、日中にスタッフが作業を再開。
と、気温の上昇からか、コーングリッツの出はスムーズ。
それらしいものが出てきたが、発泡しているのかは不明。
ともかく、なんとか形となり出来上がった『メガうまい棒』。
直径15cm、長さ96cmと、目標には届かずとも十分メガサイズ。
最後は達也が大好きなカレー味に仕上げ、かぶりつく。
城島「どっかの家の壁、食ってるみたい」
達也「膨らむというより、押し潰された感じだな」
残念ながらペーストまでは辿り着いたが、発泡までは至らず…。

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