事件現場にワゴン車が到着し作業がはじまった。荷台から何やら運び出し、建物の手前に埋め込んでいる…それはジャンプする際、ポールの先端の差し込み口となる「ボックス」、これなしで棒高跳びは出来ない。そして、その作業をこなす人物こそが、1人目のプロ・新田和義(52歳)。陸上用品の仕事に就いて32年、これまでに大きな大会での準備も手がけ、陸上界には欠かせない人物。鈴木選手と同様、新田も壁との距離が気になるようだ。さらに、もう1人のプロも作業を進めていた。陸上競技場に敷かれる「タータン」と呼ばれる全天候型舗装材をアスファルトに敷き、路面の凹凸をならしながらボックスまで延ばす。スパイクでの助走はこの感触が最もジャンプしやすい。この作業にあたる人物こそが、タータンのセッティングの第一人者、酒井紀秀(53歳)。


そしてコースが完成! ボックスが設置され、住宅街に延びる35mのタータン。そこへ、ポールを積んだ車に乗って鈴木秀司選手が現れた! あとは自分がベストを尽くすのみだが、不安は立ちはだかる壁、助走と共に押し寄せる圧迫感…。競技用ポールはグラスファイバー製で長さ5m重さ3kg、鈴木は手ごたえを確かめ壁の前で何度もイメージを描き、そして「よっしゃ!」のかけ声!


続いてタータンの感触を確かめながらのウォーミングアップ、その姿を不安げに覗き込む犯人城島と子犬、3人の刑事も見守る。スパイクに履き替え、ここから大切なのは集中力! そこへ、携帯電話の着メロが鳴った! 静かに後ずさりするボス…ボスの携帯だった! しかも曲はスターウォーズ…太一に注意されボスは思わず照れ笑い。近所の皆さんも固唾を飲んで見守る中、鈴木は繰り返し走り、助走スピード、ジャンプへのタイミングを確かめる。