| 事件現場にワゴン車が到着し作業がはじまった。荷台から何やら運び出し、建物の手前に埋め込んでいる…それはジャンプする際、ポールの先端の差し込み口となる「ボックス」、これなしで棒高跳びは出来ない。そして、その作業をこなす人物こそが、1人目のプロ・新田和義(52歳)。陸上用品の仕事に就いて32年、これまでに大きな大会での準備も手がけ、陸上界には欠かせない人物。鈴木選手と同様、新田も壁との距離が気になるようだ。さらに、もう1人のプロも作業を進めていた。陸上競技場に敷かれる「タータン」と呼ばれる全天候型舗装材をアスファルトに敷き、路面の凹凸をならしながらボックスまで延ばす。スパイクでの助走はこの感触が最もジャンプしやすい。この作業にあたる人物こそが、タータンのセッティングの第一人者、酒井紀秀(53歳)。
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