そこで達也と保原が作ったのがモナミレッドの土壌水分グラフ。
これを見ながらメロン栽培に大切な水分調節を行っていく。
花が咲くまでの間は徐々に水を控えめにし、根と花芽を充実させる。
開花日を0日として30日間は実を大きくさせる時期。
ただし表面が硬くなる硬化期は水を控えめに。
実が甘くなる収穫までの20日間は、水を徐々に減らしていく。
8月半ばの収穫まで続く微妙な水やりのさじ加減。
こうした緻密な作戦が、繊細な網目のおいしいメロンを育てるのだ。

田植えの準備に大忙しだった6月の初め。
いっそう濃くなった緑に映えるビニールハウスでは、摘心を無事に乗り越えた子ヅルが勢いよく生長し、小さな黄色の花を咲かせていた。ここで達也は麻ひもを格子状に張りめぐらせ網を作る。この網は株から伸びてきたツルを上に導いてくれるものだ。モナミレッドの場合は、下すぎても上すぎても駄目で、葉っぱ10枚目付近にならせるのが目安。

網を取り付けてから、子ヅルは光を浴びて一気に伸びていった。
腰の高さだったモナミレッドのツルは、約2週間の間に背丈と同じ高さに生長。
6月に張った網も、メロンの生長に役に立ったようだ。
すると株から10本目の子ヅルに咲いた雌花を国分が発見した。
国分「あっ、これいいじゃん!これに受粉させよう!!」
咲いた雌花はその日のうちに、受粉させなければならない。
雄花の花びらをそっと取り、花粉を直接雌花の柱頭につける。
膨らんだ「モナミちゃん」の果実を、まるごと1個がっつく様子を想像した太一、思わずニヤニヤしてしまったのだった。