梅雨になっても晴天が続いていた7月初め。
受粉から約1週間。次第に膨らんできた実は、長さ10cmほどに生長していた。
せっかく成ったメロンの卵を落としてしまわないように、ここで達也はできたメロンを紐でつるす。 宙吊り状態は泥はねによる傷を防いでくれる大事な作業でもあるのだ。
また、この時期は実を大きくするため、たっぷりと水を与える期間。
しかし今年は見事な空梅雨で、7月の初めは一滴の雨も降らなかった。
しかし、その分忙しかったのは保原だった。毎日数回に分けてたっぷりと水を与えていかなければならない。 この空梅雨を無事に乗り越えることができるだろうか。

そして受粉してから約13日目の7月7日。
充分な水分を与えられ膨らんだマスクメロンのヘタに、白い網目模様の始まりが!
これは果実の皮が硬くなる「硬化期」に入った証拠だった。
メロンの実は硬化期を経て、急激に大きくなる。
その時、表皮の成長が追いつかず、表皮が裂けていき、その傷口を塞ごうとコルク状のかさぶたができる。それが網目の正体だった。
そしてここからの数日間が甘くなる勝負どころなのだが・・・。

この時期は水を控えめにしなければならない。しかし肝心の天気は連日の雨。
畑にとっては恵みの雨でも、ビニールハウスのメロンにとっては大きな敵だった。
いくらビニールハウスでも地面にしみ込む水分までは調節できない。
水分調節が最も難しいこの時期。心配していた雨の影響がついに出てしまった。
達也「えっ!?これ網じゃないよね・・・」
果実の表面にできた大きな割れ目。それは「ヒルネット」といわれる、血の吸うヒルのような形の太い網目。これは硬化期に水分が多すぎても少なすぎてもできてしまうものだった。 だがもちろん、順調に育つものも多く、網目となっていくひび割れが細かく出てきていた。