北風が吹いたら、一気に貧酸素層が海岸の干潟に現れる可能性が高い。
また、周囲を護岸に囲まれたDASH海岸は一方向にしか沖に向かっていないので海水の交換がほとんどない状態。波も立ちづらく、その分、ヘドロが海底にたまりやすく、青潮がいつ起きてもおかしくない状態。
早急な対応が必要である。

そこで山口の提案が。
「人の力で混ぜることができれば…」
その言葉に木村さんのアドバイス。
「DASH海岸は狭い場所なので、流れさえできれば上下の層が混ざりやすいはず」
早速、長い竹を使って海をかき混ぜ、貧酸素層の拡販を試みるが、竹で混ぜるぐらいでは深く広く拡がった貧酸素層を撹拌することができなかった。

そして、9月下旬。
強い北風が吹き、夜雨だった日の翌日、DASH海岸の東の護岸に範囲10m程の青潮が発生。
魚やエビなどは初期の範囲が狭い段階ならば逃げることが可能だが、干潟のアサリなどの貝類は移動速度が遅いため、すぐに逃げ出すことができない。
少しでも環境が悪くなると生き物はすぐに別の場所に住み処を移動させてしまう。
8月までは竹ぼうきを棲み処にしていたユビナガスジエビなどの底生生物だが、青潮発生後に見てみると、姿が見当たらなくなっていた。