一方、危ぶまれたノリも2pにまで生長。
2度目の春を迎え、肉眼では見えない世界から確実に豊かさを高めているその海の中に、思いも高まっていく。
かつては、どんな海だったのか?
育んだ本来の命を水中観測所で見て、触れる。
その先駆者がいたという。
そこで、ある場所へ男たちは向かった。

向かった先は、お台場にある『船の科学館』。
船舶、海運まどの海の歴史と技術の進歩をテーマに、貴重な資料や船の実物などが展示されている近代科学館。
その中の1つに何やら変わったものがあった…。

それは、海底ハウス「歩(あゆみ)号1世」。
42年前、海の中で暮らしてみたいという思いから、愛媛県でみかん農業を営んでいた田中和栄さんが発案した、初の民間による海底居住施設。
地元の鉄工所で7か月かけて完成された、手づくりの未来型施設だった。
水深10mに設置し、一度海に潜ってから中に入る構造になっている。
目的は飽くまで生活すること。海底で、家族とくつろぐ田中さんの姿は、世界的ニュースだった。
田中さんはここで7日間に及ぶ海底生活実験にも成功させ、当時の少年たちの心をつかんだ。