奈良時代、日本に伝わり、そもそもは木綿豆腐。
江戸時代、ようやく庶民の間にも広まると、江戸の豆腐職人が、やわらかく、なめらかな味わい方で売り出し、評判となった。
歴史も作り方も、二つの豆腐は大きく違う。

それまで村で作ってきたのは、9年前を最初とする木綿豆腐。
大豆をすりつぶして、こした豆乳ににがりを加え、50回ほどかきまぜ、固まりだしたら、さらし木綿を敷いた型へ移す。重しを載せて、押し固め、水分を抜く仕上げ。
表面にさらしの跡、しっかりした食感、適度な固さ。
木綿豆腐は、料理への応用も多彩にできた。

一方、絹ごし豆腐は、大豆から豆乳にするまでは同じだが、すぐ型に移し、そこににがりも加えて、そのまま固めるだけ。
つるりとした表面が特徴で、押し固めていないため、なめらかでやわらかい。
ただし、水分を抜く工程がないので、木綿豆腐より濃い豆乳でないと、水っぽくなってしまう。