この豆乳を固め、絹ごし豆腐とするのに欠かせない、天然の材料を求めて、春の海へ。
荒れた海辺に、ひとり、礼斗の姿。
重大な任務は、海水を汲んで帰ることだけだった。
海水に含まれるあの成分が、木綿豆腐同様、凝固剤となるが、取り出すには、なかなかの手間がかかる。
村に戻ると、男たちが待っていた。
礼斗「海水持ってきました」
松岡「お、にがり作れるね」

もうカマドには火が入っていた。
チリなど取り除き、まずは海水をひたすら加熱する。
海水には、堆積1/10ほどに煮詰めると、塩が現れる。
出て来た塩をこして、取り除けば、それがにがり。

火にかけて2時間程経つ頃には、石こう、即ち、硫酸カルシウムが現れた。
塩と同じように、白く結晶化し、真っ先に現れる。
にがりに仕上げていくため、それを一旦、こし取る。
天然石こうの主成分である硫酸カルシウムも豆腐を固めてくれるが、今回は昔ながらのにがりだけで固める方法とする。