そして、再び加熱。
だが、問題はタイミング。
塩が結晶し切ったら、すぐに火からおろすこと。
これをこせば出て来るのが、にがり。
塩もたっぷり採れた。
結晶した塩とは、完全に分離した液体となっている、このにがりを、毎度のことだが、舐めてみないと気が済まず、松岡が舐めてみると、かなりの苦味。
20Lほどの海水から、計150cc、天然の凝固剤がとれた。

だが、絹ごし豆腐づくりは、この調整がデリケートな作業となる。
最後の工程を前に、青大豆の豆乳を湯煎で温め、にがりを混ぜる適温は、70℃。
更に、その分量も最適にしないと良い絹ごしにならない。
初めて扱う、濃厚な豆乳にどの割合のにがりが丁度良いのか。
竹筒に、同じ量に小分けし、分量を変えながら加える。

テストを仕切るのは、予習バッチリの礼斗。
礼斗「200ccなので、10〜12ccくらいのにがり」
城島「濃度によっても変わるもんね」

豆乳が固まるのは、原子レベルの化学反応。
にがりの主成分である塩化マグネシウムは、水に溶けるとプラスイオンをもたらし、それが大豆たんぱくのマイナスイオンと結びついて、次々と凝固していく。
程良い割合で結びつけば、プルンとした程良い絹ごし豆腐が出来上がるが、にがりの分量が合わなければ、その後、どう手を加えようとも、うまく固まらない。
しかも、豆腐としての味も、美味しくならない、微妙な配合。