やがて、溜め池にも賑わいの気配が見え始め、カエル池から来たと思われるモリアオガエルを始め、他に3種類のオタマジャクシも確認できた。
“アズマヒキガエル"においては、こんな一件も。
それは、始めての綿花づくりでの事。
栽培途中で折れ曲がり、土が原因かと心配していた矢先、土の中から
飛び出してきたのは、アズマヒキガエル。
好物のミミズを追って畑のやわらかい土に潜り込んだらしい。
2008年の春には、今度は“ヤマアカガエル"が大量発生した。
カエルの中でも先陣をきって繁殖期を迎えるヤマアカガエル。
笑い声のように盛んにオスが鳴く繁殖期。

里山から2つに池に集まり、メスに何匹のオスが群がる蛙合戦の果てに、貴重な光景も。
上にまたがったオスがお腹を押し、メスが産む共同作業の抱接(ほうせつ)。
やがて、体外受精を終え、産卵を見届けたオスは立ち去り、大量の卵が産まれた。
春先の穏やかな気候も影響したらしく、1ヵ月ちょっとでたくさんのオタマジャクシが誕生。
およそひと月半で成体となると、ヤマアカガエルは山に還り始める。
何千匹というカエルがここから里山へ消えた。

さらに、里山に還るのは、カエルだけではなく、サンショウウオも。
村の沢で見つけた小さな卵からは、2、5cm程のサンショウウオの幼生が誕生。
生まれたサンショウウオも、里山へと還って行った。
こうして、繰り返されていく生き物達の営み。自然の中の命。
もともと暮らしていた生き物達に加え、澄んだ水に変わった事で、食物連鎖による生態系が出来つつあった。