翌朝、産まれたてのオタマジャクシを確認してみると、成体に備え、僅かに口の原型も確認できた。
白い塊だった腹部は、腸の器官形成へと変わりつつある。
よくよく比較してみても、ヤマアカガエルとは、大きさやヒレ、色、目の位置も違う。
同じアカガエルでも種類によって、形状は異なる。
いずれ、タゴガエルの白さもメラニン色素が形成させるにつれ、黒ずんでいくはず。
ふ化後10日目には色の黒ずみと共に、足の原型が見え、ふ化後20日前後でほぼ尾がおさまり、4本足に。
サイズで言うと、1cmに満たない大きさながら、出来立ての手足で初めてのジャンプ、変態が完成。

タゴガエルの寿命は約3年と言われ、大人ガエルになるまで1年半かかる。
そんな今年の幼生も山に戻っていき、数年後、産卵できる大人になった際、またこの沢に戻ってくる。
村の営みを支えてきた里山の水が豊富である事で、タゴガエルの生息環境も守られ、他のカエルとの棲み分けもできる。
他のカエルと棲む環境を全く変えて棲み分けている事でカエルの種類、生息場所も広範囲に。
里山の環境に応じた棲み分けの生態系が確立してきた証でもある、と守山先生は言う。

そんな潤いが増した里山からの水辺にはフキやミズなど、水辺特有の山菜が。
茎が柔らかく、水分が多い事からミズと呼ばれ、正式にはウワバミソウ。
さらにこの時期美味しいセリも収穫。
城島「例のあれを試してみたいね」