固定ピッチプロペラよりも、長いブレードを作る。
プロペラを伸ばすと空気をかく面積が広くなり、下に押し出す空気の量も増え、揚力が増す。
しかし円柱形のグリップ(根元)は、木製では強度に不安が残るため、金属製に。そして、先のブレードをサクラの積層材でつくることに。
金属のグリップとサクラ製のブレード、長さは合わせて250cm。
城島は、サクラの積層材から新たなプロペラのブレード部分を、前回より遥かに早いスピードで見事な曲線に仕上げた。
ひねらずに長さを増し、それが2枚ひと組で二代目のプロペラとなる。
城島「全然、長さが違うもんな。飛びそうやなあ」

残りのブレードを城島に任せ、達也は角度を変えるグリップの部品。
図面を手に、東京都大田区。48年間、旋盤(せんばん)工を続ける佐藤製作所を訪ねる。
社長の佐藤さんは、旋盤のプロ。あらゆる金属を加工し、一般的に歯の治療に用いるバキュームの配管などに使われる「チーズ」と呼ばれる、わずか8oで、わずかな狂いも許されない部品も扱う。
佐藤さん「じゃあ、やってみましょう」
取り出したのは、炭素鋼の丸棒。多少重くなることもポイントとなる。
まずは、旋盤で滑らかな表面と外径を削り出す。

削る深さは1ミリ。熟練の技で刃を一定に送り、少しずつ削っていく。
錆だらけの側を削り、徐々にあらわになる滑らかな表面。わずか20分で、図面にある大まかな形に。
続いて、そこに深さ5o、幅8.6oの溝を入れる。
達也「刃が変わってるんだ」
今度は耳かきのような刃で、こすり上げるように。切削油(せっさくゆ)をさして摩擦を減らし、刃を深く入れていく。
深さを5oちょうどにすると、同じ深さで8.6oまで幅を広げる。
そして、狂いのない円柱に正確な溝。5時間かけて、直径5.5pの円柱と角柱を組み合わせた部品グリップが出来上がった。