次は乾燥、そして燻煙という工程だが…
長瀬「どこで燻す?」
燻製は、種類によって保つ温度や時間が全く違う。
ハム・ベーコンなら30度から80℃の熱を保って1〜6時間の温燻。
そこで、火と煙を自在にできるのは登り窯の、ピザや月餅を作った火力弱めの調理用パン窯で燻す。
中は直火焼きの構造になっており、火が近すぎたり、強すぎたりでは燻製にならないので、まず網を載せる所をレンガで高くする。
そこにハム用モモ肉、ベーコン用バラ肉を載せる。
そして、燻す前にしっかり乾燥させることも忘れてはならない。
熱した炭を入れて、窯の内部の温度を50℃に。
含んだ水分をある程度抜いてから燻製すると、熱や煙が中まで浸透しやすくなる。

低すぎる温度では、肉が傷みかねない。
窯の中は、50℃の状態に保ち、温度計で肉の内部にまで熱が通るようにチェックしながら、温かい窯にあたりながら温度に注意し、待つこと1時間。
長瀬「もういいんじゃないですか?」
肉に巻いたサラシ布もしっかり乾いているようなので…
達也「スモークしちゃう?」
燻製は高めの温度で煙が充満するよう、火を調整。
いぶすことによって、煙の中のカルボ二ル化合物と有機物が香りづけと殺菌。
フェノール化合物が保存の効くコーティングをして、独特の風味を加えてくれる。
窯の中は、60〜70℃を保ち、煙を3時間は絶やさないこと。

そのために用意しておいたものが、木のくずを固めた燻製材、スモークウッド。
これを作ったのは3日前。
香りが強く、豚肉などのクセのある素材向きのサクラと、色づきが良くなるナラのおがくず、削りくずを集め、小麦粉のりと混ぜる。
これを、木の型に入れ、しっかりと押し固め、乾燥させて作るのがスモークウッド。
まず、火を起こし、スモークウッドに火をくべてみると、火がすぐについてしまい、やけに燃えやすい。
失敗だったか…?
しかし、長瀬が息で吹き消すと、火は消え、モクモクと煙が。
長瀬「いい感じ」
緩やかに燃え続け、煙で、この肉を美味しく変えてくれるか?
炭火で窯の中の温度を上げ、煙を放つスモークウッドを足していく。