一方、人間より遥かに優れているのが聴覚。
特に、高い音域に敏感で、馴れた人間なら、
ささやく声や車の音でも区別できる。
かなり、馴れてはきた二人だが、呼んでもちゃんと来てくれるか?
長瀬・太一「ポーポー、ポーポーポーポー」
それは、北海道で馬を呼ぶときに使う“おいで”という意味のかけ声。
長瀬「ちょっとは気にしてるね」


耳は、二人の声に反応している。ならばブラッシングでさらに、
太一「ブラシかけてたら、ちゃんと認識してくれるかな?」
定男さん「してくれるべ。気持ちいいから尻尾も振ってる」

この日は、前の反応を踏まえ、道子を引いて歩く練習。
短い手綱で近付いて歩くと、視界を遮ることにもなり、馬は歩きづらい。
手綱は長めで程良く離れ、馬の少し前を歩けば、
安心して従う動きにもなってくる。


定男さん「(太一に)前見て走れ!もっと早くだ」
この日の定男さんは、いつもより厳しめ。
だが、このアドバイスで太一の引く手綱に道子が従う。
そして、前回、道子が暴れ、苦手意識を持ってしまった
長瀬の言うことも聞くように。
足の運びは、左右の足をそれぞれ前後揃えて歩く側対歩。
乗馬や荷物運びに適し、体の揺れが少ない。