夕暮れの道を進んでいると、津軽海峡が目の前に見える。
その道中、気になったのは、大きな橋のようなもの。
橋の下で焚き火をしていた村上ルリさん達に聞いてみると、これは戦前に着工された幻の『大間鉄道』。
大畑町から大間・奥戸を結ぶ計画だったが、戦時中に工事が中止となり、大畑からの着工区間には現在でも遺構が点在している。
その橋の上は、地元の人々が、畑にしたり、小屋を作ったりして活用されている。

村上さん達は先ほどからイカを焼いている。
大畑町は青森県有数のイカの漁獲高で、『生っぴ』は津軽海峡の潮風にさらしたイカの干物。
半生の干物から『生っぴ』と呼ばれる。
それを焼いて食べると、歯ごたえの中に柔らかさもあってうまい。
太一が寒立馬(かんだちめ)はまだ遠いか尋ねると、半島の端にある尻屋崎のほうでまだまだ遠い。
大間鉄道の起点となった駅があるというので、そこまで行ってみることに。

日は落ちて、辺りもすっかり暗くなり、町に入っていく。
道子、初めての信号で、きちんと止まる。
そして、町に入っていくと、駅らしきものがあるが、看板には「出張所」と書いてある。
中に入って確かめてみると、かつて本州最北の駅だった大畑駅は、2001年に大畑線が廃止され、現在はバスターミナルになっていた。
すると、そこに廃線となったはずの列車が走っている。