そして、追い込み開始からわずか2分。
行き場を失った魚たちが見事網に。
福地さん「(追い込む)スピード上げないと、魚が網を見て戻ってきてしまう」
だが、この漁のポイントは、速さだけではない。
福地さんは、海底に着くと石を拾い、それを両手で打ち付けて音を出していた。
魚は側線と呼ばれる器官で、水中の振動を敏感にキャッチ。
動きや色にはそれほど反応しないが、振動には瞬時に反応。
遠くの音でも反応する。この性質を利用したものだった。

どれだけ難しいのか、潜水士の資格を持つ達也がやってみる。
網は福地さんに張って頂き、まず網の反対側に移動。
そこにいた群れに狙いを定め、手頃な石を拾って、網と反対方向へ投げ込み、魚を網の方向へ誘導。
石の音に驚いた魚たちが移動し始め、達也も急いで網の方へ泳ぐ。
網まで5m、海底へ潜って両手で石を叩きながら、一気に追い込む!
ところが、魚の群れは全て上方向へと逃げてしまった…。

何が違うのか?今度は魚のいないところで一緒に潜って見せてもらう。
まずは水面での泳ぎ方、一掻きでの泡立ちが全く違う。
激しい動きで水面を泡立たせることで、魚を驚かせなければならない。
続いて石を叩く。そこで達也は福地さんが声を出していることに気付く。
福地さん「声が一番(効果)最高やね」
水中に存在しない音「人間の声」。
魚が普段、絶対に聞かない音を聞かせることで驚かせ、網まで一気に追い込んでいた。