特に状態が深刻なのは、右側の柱の方。
集めて来た材木の長さが足りず、2本の材木で、松本城などにも使われる伝統の技・金輪継ぎを施した。
複雑な加工だが、その分抜群の強度を生み出す。
この作業に5時間を費やし、棟梁・達也が苦労の末継いだ長柱だった。
しかし、その金輪継ぎの部分が折れてしまっていた。
達也「あんなに頑張ったのにさ…」
だが、長い材木の継ぎ手は幸いにも無傷。
つまり、短い方だけ作り直せば、再び継ぎ手で一本の長柱として再生できる。

それには、新たに継ぎ足す材木を探さなければ。
長さは1.5m、同じ部材である椎の木でなければ強度が保てない。
目を付けたのは、およそ3mの椎の材木だが、その半分ほどは、腐って割れて使えそうにない。
だが、材木の数と種類に余裕はない。
折れた柱を当て、同じ寸法がとれるか確かめる。
長瀬「ギリギリ(長さ)いけるか」
傷んだ部分をよけて切り出せば、なんとか足りそう。

数日後、達也は折れた柱の修理に取りかかった。
使える材木は一本、わずかな無駄も許されない。
傷んだ部分ギリギリで切り出した材木を、金輪継ぎに仕上げていく。
形は複雑だが、縦・横・あらゆる方向からの力に強い。
最後に栓を打ち込めばキツく噛み合う、強力な継ぎ手だが、これが割れるとは、よほど倒れた時の打ち所が悪かったのか。
そして作業を始めて数時間後、以前と同じ継ぎ手加工が出来上がった。
元の柱とも上手く噛み合い、最後に杭を打ち込んで、2度目の金輪継ぎが無事完了。