日本選手トップの8位に入った駒澤大の篠原倖太朗選手

第76回香川丸亀国際ハーフマラソンが、2月4日、香川県立丸亀競技場付属ハーフマラソンコースで行われました。
この大会は高速レースで知られており、多くの大学生ランナーが出場。東京国際大学の留学生、リチャード・エティーリ選手(1年)が日本学生新記録となる59分32秒の好記録をマークし、優勝を飾りました。



日本学生新記録を打ち立てて優勝したリチャード・エティーリ選手


前夜にはみぞれ混じりの雨が降るほど冷え込み、スタート時の気温は8.0度と低く、エティーリ選手は「少し寒かった」と振り返ります。入りの5kmは14分22秒と少しスローペースとなりました。
5km以降は、大会記録保持者で前回優勝のアレクサンダー・ムティソ選手(NDソフトアスリートクラブ)と共にペースアップし、10kmを28分24秒(5〜10kmは14分02秒)で通過。12km過ぎには、エティーリ選手とムティソ選手の2人に優勝争いが絞られました。
15kmを42分22秒(10〜15kmは13分58秒)、20kmを56分36秒(15〜20kmは14分14秒)とハイペースをキープすると、最後はエティーリ選手が抜け出して優勝を果たしました。
目標に掲げていた大会記録(59分17秒)、さらには58分台には届かなかったものの、エティーリ選手は、2007年にメクボ・モグス選手(山梨学院大学)がマークした従来のハーフマラソン日本学生記録(59分48秒)を17年ぶりに更新する59分32秒の新記録を打ち立てました。20kmの通過タイム(56分36秒)も公認で、こちらも学生新記録。トラックだけでなく、ロードでも強さを示し、5000m(13分00秒17)と1万m(27分06秒88)と合わせて4種目の学生記録保持者となりました。
 エティーリ選手は昨年10月の箱根駅伝予選会で転倒するアクシデントに見舞われ、チームも本大会出場を逃す悔しさを味わっています。チームメイトのアモス・ベット選手(1年)も1時間0分11秒の好記録で3位入賞を果たしており、強力な2人の留学生が、箱根駅伝復活を目指すチームを牽引します。

日本選手トップの8位には駒澤大学の篠原倖太朗選手(3年)が入りました。
前回大会、1時間0分11秒の日本選手学生最高記録を打ち立てた篠原選手は、序盤から先頭集団でレースを進めましたが、中間点を過ぎて遅れをとってしまいます。ですが、これは“あえて”の冷静な判断でした。
「付いていこうと思ったんですけど、少し脚に不安があり、何回か攣りかけたので、大きく崩れてしまう可能性があった。なので、少し落とし、付いていかないという判断をしました」
実は、直前に行っていた徳之島合宿中に左脚を痛めてしまい、「何本か練習を飛ばし、不安があった」と言うように、万全な状態ではなかったといいます。それでも、冷静に対処し、田村友佑選手(黒崎播磨)に「2人で行きましょう」と声をかけて後半も粘りを見せました。
15kmを前に田村選手を振り切り、単独走になってからはペースダウンし、目標としていた従来の学生記録および自己記録更新はなりませんでしたが、1時間1分04秒でまとめ、8位入賞を果たしました。
「日本選手トップは良かった。この連戦のなかでこれだけ走れればギリギリ及第点かなと思います。でも、日本選手学生最高ではなくて、学生記録を狙っていたので、少し残念な結果にはなりました」と、篠原選手は悲喜こもごも。しかしながら、実業団勢をも打ち負かして日本選手1位となり、今年の箱根駅伝1区区間賞の実力を見せつけました。
 この後は2月15日からアメリカ・アルバカーキーで合宿をし、3月16日にロサンゼルスで行われる中長距離の競技会「The TEN」で1万mのレースに臨みます。

 駒澤大の新主将に就任した篠原選手は、新シーズンのチーム目標について次のように話しました。
「阪神の“アレ”じゃないですけど、狙いに行くっていう感じをそこまで出さずに、一つ一つの勝利を積み上げていった結果、チームとして三冠を成し遂げられればいいなと思っています。
 人によって“勝利”の意味は違う。1年間ケガをしなかったのも1つの勝利ですし、本当に小さなことですが、体重オーバーしなかったことも1つの勝利。そういった小さい勝利もおろそかにしないで、積み上げていきたい」
 今年の箱根駅伝では青山学院大学に敗れ2年連続の大学駅伝三冠を逃しましたが、佐藤圭汰選手が1月26日に室内5000mで13分09秒45の日本新記録を打ち立てるなど、駒澤大の選手たちのハイパフォーマンスが続いています。この日も、篠原選手だけでなく、今年の箱根駅伝を走れなかった伊藤蒼唯選手も1時間1分16秒の自己ベストで14位と快走しました。箱根の覇権奪回に向けて、チームとしても好スタートを切っています。

その他、順天堂大学の浅井皓貴選手(3年)が日本人2位の9位と健闘しました。今年の箱根駅伝は体調不良もあって2区19位と苦戦しましたが、10マイルの日本選手学生最高記録保持者としての力をハーフマラソンでも見せました。新シーズンの箱根駅伝は予選会からの挑戦となりますが、順大勢は海老澤憲伸選手(3年)も1時間1分49秒と好走しました。
 箱根駅伝で2区区間賞の活躍を見せた黒田朝日選手(青山学院大2年)は、1時間1分39秒で23位でした。「今回は自己ベストが出ればそれでいいと思っていた」という言葉の通り、自己ベストをマークしました。
また、駿河台大の東泉大河(2年)、中大の柴田大地(1年)、東洋大の緒方澪那斗(2年)、城西大の山中秀真(4年)、青学大の塩出翔太(2年)、大東大の西川千青(3年)、創価大の吉田凌(3年)が1時間1分台をマークしています。下級生にも好記録が相次ぎ、新たなエース候補たちが存在感を示しました。