男子800mを制した立迫大徳選手(ナンバー40)


男子1500mで先頭を走る吉倉ナヤブ直希選手


冷静なレース運びで男子5000mを制した間瀬田純平選手

新年度を迎えて、陸上競技のトラックシーズンが開幕。週末には各地でレースが行われ、長距離ランナーはロードからトラックに舞台を移し熱戦を繰り広げました。

4月6日(土)には、早稲田大・法政大・慶応大・東京大・立教大・明治大による「第57回東京六大学対校陸上競技大会」が神奈川・慶大日吉キャンパス陸上競技場で開催されました。中距離で躍動したのが、箱根駅伝を目指す臙脂のルーキーたちでした。

男子800mには、高校歴代4位(1分47秒97)の記録を持つ立迫大徳選手(早稲田大学1年、鹿児島城西高出身)が登場しました。
「位置取りが悪くて、内容としてはあまり良いレースではなかった」と振り返るように、インレーンからなかなかポジションを上げられずにいましたが、残り200mを切って先頭を奪うと、最後は先輩の筒井航佑選手(4年)の追い上げを振り切って、フィニッシュラインに駆け込みました。
「大学初レースは対校戦っていう大事な試合になりましたが、しっかり自分の実力を発揮できた。ラストのキレもいい感じで終わることができました」
エンジのユニフォームデビュー戦を優勝で飾り、最高の形で大学生活をスタートさせました。
800mや1500mを得意とする立迫選手ですが、早稲田大学では長距離ブロックに所属し、花田勝彦駅伝監督の指導を仰ぎます。
「早稲田大学は箱根駅伝も強い大学。小さい頃から箱根に憧れていたので、長い距離も走れるようになったら目指したい。
得意のトラックレースで世界を目指せるような選手に成長し、箱根駅伝で区間賞を狙えるような選手になっていきたい」
トラックシーズンは800mと1500mを中心に取り組み、秋冬に5000mや1万mに挑戦し、箱根駅伝を目指すプランを立てています。

立迫選手の活躍に奮起したのは、同じく早稲田大学のルーキーの吉倉ナヤブ直希選手でした。
「同期が1年生で優勝したのは刺激になりましたし、プレッシャーにもなりました」
男子1500mに出場した吉倉選手は、そのプレッシャーをも力に変えて、序盤から積極的に先頭を引っ張りました。
「スタートで前に出ることができたら、引っ張り切ろうと思っていました」
こう話すように、積極果敢なレース運びはプラン通り。抜かれても抜き返し、1年生らしからぬ負けん気の強さを見せました。そして、立迫選手に続いて、ルーキーながら優勝を飾り、先輩の岩下和史選手(2年)とのワンツーフィニッシュを果たしました。
吉倉選手もまた中距離を得意とするスピードランナーですが、5000mで14分16秒01の記録を持ち、1万mもすでに29分台で走っています。
「(早大には)いろんな距離に対応している選手がいるので、吸収できるところは吸収して、1500mから箱根駅伝まで全部走れる選手になりたいと思っています」と、マルチな活躍を誓っています。

ルーキーの活躍に先輩も黙ってはいません。男子5000mで圧巻の走りを見せたのは、3年生の間瀬田純平選手です。
1年時、2年時と箱根駅伝の1区を走っている間瀬田選手は、下級生の頃は中距離を主戦場としていました。昨年の東京六大学対校陸上では1500mで優勝していますが、今年は5000mで優勝を狙いました。
「冬季はウエイトトレーニングをしっかりやるようにし体作りに重点を置きました。あと、今シーズンからは5000m、1万mに挑戦するので、長い距離も走れるようにちゃんと距離を踏みました」
序盤は2番手に付け、途中では先頭に立つ場面もありました。残り2周を前にスパートした秋吉拓真選手(東京大学3年)に一時は50m近い大差を付けられましたが、間瀬田選手は冷静でした。
「あまり焦りはなくて、冷静に差を詰めていけば、ラスト1周で絶対に行けるって思っていました」
こう話すように、中距離で培ったスピードを炸裂させ、ラスト1周を切って秋吉選手を猛追。残り100mで逆転し、優勝のフィニッシュテープを切りました。記録も13分55秒61と、これまでの自己記録を0秒22上回る自己ベストでした。
「シーズン最初の5000mで自己ベストで走れたのは、(新年度の)入りとして良い感じでした」と好感触を得て、新シーズンに臨みます。
勢いのあるルーキーに加え、上級生もさらなる進化を見せており、今季の早稲田大学は目の離せないチームになっていきそうです。