第541回日本テレビ放送番組審議会は、新しい野球中継の試みである『プロ野球サバイバルナイター DRAMATIC BASEBALL2020 巨人阪神戦』を取り上げました。画面構成を含めてノーマルな野球中継の型を崩し、解説者には先読みの解説をお願いしたうえで、予測の根拠を楽しむという企画です。
今回も感染防止のため、リモート形式で行いました。(リポート5名)

  • イニング間やピッチャー交代など、たっぷりある余白を逆手に取った斬新なアイディアだと思った。ピッチャー目線や野手目線など、多角的に野球を見ることが出来た。
  • 今回の試合は巨人ファンにとってはあまり見たくないゲームだと思うが、予測の面白さに引っ張られて見たという人も多いと思う。しかし、全員の予想が同じになってしまうと急に退屈になってしまった気がした。
  • 解説者の方たちは元々優れた選手で勝負師でもあったので、多分負けず嫌い。予測をするという勝負でも「負けられない」というところが見えて、普段の解説では絶対に言わないことまで仰っていたのが面白かった。
  • 7人すべてが予測して根拠を尋ねるというのはかなり慌ただしくて、聞いている方も情報が多すぎて大変だった。ゲームだけに集中したい人にはうるさいのではないか? また、副音声を聞きたい場合、ワイプを消すことが出来れば最高ではないかと思った。
  • 視聴者が解説者に求めるのは、バッターが打つか打たないか、だけでなく試合の流れがどうなるかという部分。この方式だと、もう少し引いた目で見た大きな試合の流れや選手采配についての解説が無い。その部分は工夫の余地があるのではないかと思った。
  • 解説者の表情が見られるのが何よりも良い。画面を見ているというより皆で野球を見ている感じがあり、スポーツパブに行ってワイワイやっている感じが出たので、面白い感覚だと思った。
  • 新しい視聴者や野球のルールが分からない人に説明するには、いい番組だと思う。画面の右側に主要なルールを入れて貰うと、全然知らない人も分かるのではないかと思った。
  • 野球中継とクイズのエンタメ要素を組みあわせて、今までの野球中継のイメージを、いい意味で覆す試みだったと思う。新規ファンの間口を広げることに繋がったのではないかと思った。
  • 視聴者参加型にしたことも良い試みだったと思う。コメントなどを通じて双方向感があるインターネット番組に慣れている層にとっても、親しみが湧くと思った。野球を通じてテレビの可能性を広げる試みになったのではないか?
  • プロ野球ファンの一人として大変複雑な感慨を抱き、率直に言うと「これはスポーツ中継なのだろうか?」と思った。巨人・阪神戦を題材にした“プロ野球予想バラエティーショー”なのではないか。観客の姿がほとんど見えず、熱気や盛り上がりを味わうことも出来ないにしても、ちょっと辛かった。
  • 江川卓さんが番組後半でおっしゃったように、一球一球で変化していくのがピッチャーとバッターの対決だとすると、最初のボールが投げられる前にすべて予想してしまうのは、ゲームとしては面白くても、やはり邪道ではないかと思った。
  • コロナ過で観客を入れられない中、新たなスポーツ中継の在り方を模索することは、とてもいいチャレンジだと思ったが、クイズのスタートが唐突で、1打席ごとに予想をするので忙しい感じがした。
  • コメントをしている解説者の顔が小さく、時々誰が喋っているのか分らなくなったので、枠の色を変えるなどの工夫が欲しかった。また文字も小さくて、スマホでの視聴に向かないと思った。
  • 久しぶりにナイター中継を最初から最後まで見たが、もうちょっと緊迫した試合だったらもっと良かっただろうと思った。野球独特の“間”があるからできるクイズで、よく考えられて開発されているし、新しい挑戦にエールを送りたい。
  • 「誰が最強の解説者か」という新しい企画は、少し違和感があった。解説者が現役時代の経験を活かした話は個性があったし、比較して聞くと面白かったが、私自身はしっかり試合を見たいと思う。

この御意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。

「ファンを拡大し、今、野球に興味のない人にどうアプローチするのかという課題が多い中、野球をリスペクトしながら、見ていてワクワクする中継をしたいと考えている。頂いたご意見を課題として、痒いところに手が届くような“絶妙な匙加減”を目指して、今後もチャレンジしていきたい。」