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番組向上への取り組み

放送番組審議会

2021年7月番組審議会概要

第550回日本テレビ放送番組審議会は、6月27日に放送された『NNNドキュメント’21』セックスと同意「性犯罪」刑法は変わるのか を取り上げ、審議しました。50年以上の歴史を持つ『NNNドキュメント』は日本テレビの中で3番目に古く、NNN系列29局が交代で制作する番組で、今回は法律を切り口にして、性被害の実態と刑法の問題を取り上げました。
今回も感染防止のため、リモート形式で行っています。

  • 今まで知らなかったことが多いことに驚いた。性暴力被害者に対するワンストップ支援の番号を周知する上でも良い機会だと思った。同意のない性行為に対して厳罰を求める意見と、えん罪などの懸念があるという双方の意見があり、外国の事例も考えさせられた。
  • 1時間に全てを取り上げるのは難しい中、バランス良く配置されていたと思うが、男性やLGBTの性被害者や、えん罪被害者のことなども取り上げる観点も含め、今回だけでなく継続的にテーマを組んで欲しい。
  • 登場された方が勇気を出して発言してくれたことに敬意を表したい。刑法の改正を求めてどんな動きがあるのか、今までの刑法で救われなかった人がどれほど傷ついているかを、きちんと見せていて分かりやすかった。女性だけでなく、多くの人に見てもらいたい番組だった。
  • 刑法学者の女性から「性的行為に同意を取ることが、日本の文化にあるのだろうか」という話があったが、「年長者や力のある人に従った方が良い」という訓練が幼いころからされ過ぎているので、同意する・しないの前に、自分がどんな意思を持っているのか分からないという人も、かなり存在するような気がする。
  • 「体の問題は自分の意思で決定する」という“リプロダクティブ・ヘルス”の問題が今、大きな話題になっていて、これからますます強まることを考えると、ドラマの恋愛シーンの作られ方も変わってくるかもしれず、男女であれ、他の性であれ、それぞれの性のことをよく知ることが大切で、これからテレビがしなくてはいけないことが沢山あるように思う。
  • 性暴力被害が明白な暴行や脅迫によるものではないということは驚くべき事実。関係性の中で下位にあるものが巻き込まれていき、声を上げにくいという点で、日本の社会構造的なものだという気がした。
  • 「性的同意を文化にしよう」というのは、いじめや空気や忖度のある社会の中で、どうやって自分の意思を持ち、言葉にしていくかという、ものすごく大きな問題提起をしている。ここを一つの突破口として大きな社会の流れを作っていくと、素晴らしい試みになると思う。
  • つらい話ばかりだったが、100年以上前の刑法とその成り立ちに振り回されていることを知り、びっくりした。また、性交同意年齢が13歳と知り、日本人の意識がなぜこんなに鈍感なのかと思った。
  • 海外のドラマを見ると、かなり日本人と違う考えや認識をもっている人がいる。この番組によって、私たちも一歩前に進んだり、考えたりするきっかけになるのではないかと思う。
  • ドキュメントもドラマも、出来る限り弱い人や声を上げられない人たちの側に立つべきだということを改めて痛感した。特に、#MeToo運動以降、テレビのコンプライアンスも大きく変化し、恋愛ドラマにおける男女の描き方も少しずつ変わってきて、「される側からしたら嫌なんだ」ということに目を向ける文化になって来たという感じがする。
  • ゆっくりではあっても世界は良い方向に向かっているのではないか、そこに立ち会える表現者として、出来ることを考えたいと思った。「この世代がちゃんとやらなかったから、今こんなことになっているんだと言われたくない」という言葉があったが、凄く胸に刺さる言葉だったと思う。
  • 被害者のパートナーの「フランスでは、そういうことは教育を受けている」という言葉がキーになっていると思う。法律を作って、これから日本も教育していかなければならないと、日本の教育にも問題を投げかけていると思った。
  • 泣き寝入りをしてしまった被害者の声はしっかり伝えていると思うが、被害届を出して受理されたが、不起訴になってしまったという人はいなかったのかなど、気になるところがあったので、続編で伝えて欲しい。
  • 10年前、20年前は、モザイクを掛けたり、音声を替えたりしていて、このように被害者が顔を出して出演するということは無かった。これは日本だけでなく、世界的に#MeToo運動を受けた大きなうねりであり、今まで声を挙げられなかった人が声を挙げ始めたことを受け止めなければならない。
  • 最後は「このまま何もないことで終わらせて欲しくない」という被害者の言葉で終わっている。そこには作り手のメッセージがあり、スタンスがはっきり込められていると思った。
  • こういう番組を必要としている人はたくさんいる。#MeTooから始まって、ネットの力もあり、色々と動き始めていると思うが、この番組が誕生したというのは、タイミング的にも素晴らしいと思った。
  • きちんとした“人権教育”や“性教育”を受けずに大人になってしまった真面目な人たちに見てもらいたいと思った。煽情的にならずに非常に静かなトーンで全体を通していることも評価できると思った。
  • この番組は中高生や大学生にも見てもらいたい。最も知りたいことで誰も教えてくれないことが詰まっているし、学校で性教育が出来ないなら、テレビ局がどんどんやって欲しいと思う。
  • 被害者の証言という衝撃的な問題提起から始まって、警察に相談した後の対応が数字で押さえられていて説得力があると思った。弁護士が「法律も変えて、教育も啓蒙もすればいい」と正論を言うが、そこまで日本の文化が変わるのかがこの番組の続編だと思うので、続けて作ってもらいたい。

この御意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。

「2年前に性被害に関するドキュメンタリーを2週連続で放送した後、次は法律を切り口にすることはできないかと企画の検討を進めてきました。そして「自ら取材を受けて、自分の性被害を訴えることで、世の中がより良くなって欲しい」という被害者の思いも汲みながら、1年以上かけて番組にすることができました。今後も刑法改正の動きに注目し続けていきたいと思っています。」