第559回日本テレビ放送番組審議会は、6月11日に放送された『1日1便 乗ってきました』を審議しました。1日にたった1便しかない乗り物の終着点へディレクターが出向き、その土地の魅力を取材し、ネットで検索しても出てこないような景色や地元の人とのコミュニケーションを通して暮らしを紹介するニッポン再発見番組です。(1名欠席、1名リポート)

  • 一般の人たちの生活を興味深く見る“のぞき穴系”の番組が増えており、この番組も「1日1便」という“のぞき穴”から、なかなか行けない場所を見たが、旅番組なのか、ドキュメンタリー番組なのか、どちらに振ろうかという迷いがやや見えた気がする。
  • 過疎化や高齢化など、色々な事情はあると思うが、何故1日に1便だけを残したのかを知りたいと思った。
  • ひな壇でのトークが無く、ナレーションのあおりもないという素敵な番組だった。番組のルールや説明もなく番組が始まり、ワイプでは4人が同時にしゃべっているが、それが心地よく感じていいテンポで楽しかった。
  • 田舎を訪ねていく番組は、出会った人の人生を無理やり良いドラマにすることがあって若干苦手だが、この番組はそういう感じが無かったことに好感を持った。
  • ディレクターが自由に作っているので、YouTubeで良いものを作り出すテレビ版なのかなという気がした。奈良を紹介した女性ディレクターは、12日間一人でカメラを回して逞しいと思ったが、暗いところにも一人で行くことがあり、安全面で心配になった。
  • 旅番組や紀行番組は、タレントや有名人の魅力で見せてしまうところがあるが、この番組はディレクターが行き当たりばったりで取材し、人や自然との出会い、驚きや発見がそのまま伝わってくるのが良いと思った。
  • 画面上に“秘島”や“秘境村”というスーパーが出ていたが、現地の人たちはこういう言い方をされて気持ちが良いだろうかと思った。都会から行った人の嫌な部分を感じた。
  • ワイプの映像と話が耳ざわりで、テロップも多すぎるし、画面いっぱいに情報が並んでいて、誰が何を言っているのか、何を感じているのかが分からなくなってしまった。
  • 出会った人や場所、事象は非常に面白く、日本には色々なところに優しい人たちがいて、優しい気持ちが行きかっているという気持ちになれたのは幸せだった。
  • 番組中に入っている笑いは大きなお世話で、そんなことをしなくても良い材料を提供すれば視聴者は分かってくれる。ある意味、情報が少ないくらいの方が楽しめるのではないかと思った。
  • 非常に楽しく、画期的で面白かったが、過疎の中で地方は大きな問題を抱えている。この番組が、地方が魅力を取り戻していくための手段になれば良いが、現実はなかなか難しい。普通の旅番組だったら何も考えずに終わってしまうが、そこまで考えさせられてしまうのは、素晴らしい試みだと思う。
  • 四角い太陽を見るために9日間毎朝起きて取材に行くのをスタッフが楽しんでいる感じが出ていた。若い人の感覚でいろんなものを発見して、発信して欲しいと思う。
  • 行き当たりばったりだからこそ、その土地に何があるのか視聴者も一緒に発見していける面白さがあった。北海道の夜のシーンではヒヤヒヤする点もあり、最低限の安全は配慮した方が良いのではないかと思っていたが、スタジオでその点を突っ込んでいたので安心した。
  • 海外からインバウンドで日本を訪れる観光客は、滞在型の旅を好む傾向があると聞くので、英語の字幕を付けて海外向け番組として発信する機会があれば良いのではと思った。

この御意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。

安全面に関しては、ロケは2人1組で行い、万が一の場合に備えて、あらかじめタクシー会社と連絡をとるなど体制を整えているが、今後はより一層の配慮をしていきたい。
また、「秘境」など言葉の使い方については、ご指摘の内容をスタッフ間で共有し、今後の番組作りに活かしていきたいと思っている。