第566回日本テレビ放送番組審議会は、3月20日に放送された「日本が動いた瞬間TOP100」の合評を行いました。
日本テレビの秘蔵映像の中から、特に「映像の力」が良く分かる題材をセレクトし、政治ニュースを中心に、取材の裏側や秘話、感動の物語、テレビ報道の意義などをテーマとした日本テレビ開局70年記念番組。コンテンツ制作局と報道局の合作で制作した3時間の特別番組です。(リポート1名)

  • 正直、日本が動いた瞬間を見たという気持ちは無く、そこはかとなく、年末の番組感が漂っていた。政治を柔らかく面白く見せてもらっているが、これで良いのか?政治家のキャラ勝負を面白がって良いのか?何となく笑えるが、ちょっとモヤモヤした。
  • 70年分ということで昭和の映像をもっと見られるかと期待していたが、案外それが少なく、もっと現代との違いを知りたかった。
  • 市川房枝さんと大平元総理の結婚問答の映像は凄く貴重。スタジオでは笑い話のように扱われていたが、あの問題は今も地方によっては根強く残っているので、そういう指摘を誰かが話して欲しかった。
  • お笑いタレントがなぜ出ているのか分からなかった。現役の政治家に対抗できる人材がおらず、全然面白くない。鋭い批評眼を持った人がいると思うので、“にぎやかし”で出せばいいというものではなく、もう少し考えてもらいたい。
  • 70年で色んな映像が残っていることが分かり、それが上手に生かされていたと思う。政治家も個性的で魅力的な人が多く、人間臭さが凄く面白かった。締めのコメントでも、これからの映像が「報道の力」になって行くという道を見た気がした。
  • 3時間全て面白かったが、見終わって残るものが殆ど無く、とても残念だった。戦後史を俯瞰する流れで番組を作り、そこに笑いを挟む。そういう知的で高度なことが出来れば、皆が楽しめて政治や報道の入り口となる番組になるのではないか。非常に惜しいと思った。
  • 政治とバラエティーが超ミスマッチ。報道でもバラエティーでもなく、お互いに傷つけ合う感じ。政治を楽しもうということだと思うが、そもそも難しくハードルが物凄く高いのに、結果としてハードルを全然超えられなかった。
  • 全体としては華やかな打ち上げ花火みたいで、何を見たのかと思うくらいパンパンだった。違い過ぎるものを詰めこんだお弁当のようで、タイトルも凄く古臭いと感じた。
  • 51年間再会を待ち続けた夫婦の話は、今のウクライナ問題にも繋がり、子供たちの連れ去りやシベリア抑留の問題を考える大事なこと。最後のところはもう少しその部分に時間を割いて、締めに結び付けて欲しかった。
  • 長時間だがテンポが良く、政治とそれ以外の話題がバランスよく編成されて、小学生の娘も興味深そうに番組を見ていた。ただ、タイトルから抱く壮大なイメージと内容がかけ離れていたと感じた。単体のエピソードの面白さや、映像のインパクトに重点が置かれていて、日本が時代の流れの中でどういう変換点を辿っていったのか、どこがターニングポイントになっていたのかという視点が、あまり感じられなかった。

この御意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。

「映像のインパクトを求めすぎてバラエティー色が強くなったという印象は免れず、今回指摘していただいた点を参考にして、今後『事件・事故編』や『スポーツ編』といった切り口でもう一度トライできればと考えている。」

最後に前回の委員長のご意見を受けて、直接取材が出来ない場合の「取材とロケの留意点」に関して、制作現場とコンプライアンス推進室で確認したことを報告しました。