第576回日本テレビ放送番組審議会は、2月25日に放送された『カラフルライフラリー ~人生ってみんな違ってスバラシイ~』の合評を行いました。2月23日から3日間にわたって行った多様性をテーマにしたキャンペーン「カラフルウィークエンド」の最終日に放送された番組で、開局当時から70年にわたって日本テレビが伝えてきた貴重なアーカイブ映像にその後の取材を加え、社会の価値観の変化と「カラフルな人生ドキュメント」をテーマに制作しました。(1名リポート)
- 自分の選手仲間には海外出身者や、障害者、LGBTQの人もいるので、改めてそういう人たちの気持ちを考えるきっかけになったと思う。VTRに出てきた人にスタジオに来てもらい、クロストークがあればよかったと思う。
- 「人生ってみんな違ってスバラシイ」という言葉は、違うことが素晴らしいと伝えたいのか、違いがあったうえで自分らしく生きられる世界が素晴らしいということなのか、何が一番伝えたかったのかと思った。
- いろんなテーマがあって戸惑ってしまうところがあった。視聴者に判断をゆだねるために「この番組を通して伝えたいこと」を、あえて声高に言わないのかと思ったが、作り手の伝えたかったことがどこまで伝わったのか?と思った。
- 多様性や他者への配慮は、一歩間違うと息苦しさになって対応に苦慮する。この番組を入り口にして、タブー視したり、“触らぬ神に祟りなし”みたいになっているところへの取り組みを進めていくといいと思った。
- 伝統的な家族観が背景にあって会話が進んでいるが、その前提を問い直すこともできるのではないかと思った。KABA.ちゃんのところで、「イジリとは何ぞや」とか、「あの時代のオネエキャラの扱いは正しかったのか?」など、森アナウンサーが日テレブランドを背負って皆と一緒に考える場面もあって良かったのではないかと思った。
- MCとしてのSHELLYさんがいいなと思った。中学生の息子と同じような感覚を持っている人が進行していると、自分と同じ目線で見てくれていると彼らも思う。子供達にはとても好評だった。
- 一番印象に残ったのは里子を育てている坂本ハウスで、どういうモチベーションでここまでのことをされているのか、もう少し掘り下げて知りたかったと思った。
- YouTubeで里央奈ちゃんを以前から見ていたが、お父さんへの発言と関西弁だから成立しているという感じがあった。自分も父親なので、若干ざわっとする気持ちになった。
- ドラマの仕事をしているとコンプライアンスは本当にキツい。セリフを見直したり、どう取られるかということに、ここ数年は凄く気になっているが、基本的に昭和より令和の方がいい時代だと思う。
- 今回、一番気になったのは、過去の時代のつらさを作っていたのも自分たちではなかったのか、ということ。社会の問題ではなく、個人個人の意識の中にどれだけいろんな人を苦しめてきたのか?がもう少し感じられると、いいという気がした。
- 白黒のアーカイブ映像を見て、昭和はカラフルじゃない時代だったと思った。そして、現在の視点で過去を差別するのは注意しなければならないとも思う。“昭和”“過去”“笑い”のような感じで終わってしまうようにはしたくないと思った。
- 一番気になったのは、「自分らしさ」という言葉で、今凄く流行しているが、だんだん手あかがついてきて、本来の意味が見えなくなってしまう。
もう少し聞いている人の心に引っかかるような、ほかの言い方をテレビでも考えていって欲しいと思った。 - 既にドキュメンタリーで扱っている材料だったので物足りなさもあった。番組の一つのコーナーは20分程度なので、どうしても描き切れていないが、入り口としてはいいかと思った。
- どうしてこういうゲストなんだろう?と思ったが、ミックスルーツのくだりのコメントが他人事ではなく、“我がこと”だったので説得力があり、内容と司会が合っていたので良かったと思った。
- 人口が減少している社会の中で、ブラジル人の家族や、里親の家庭から力強いメッセージが感じられた。色々なルーツを受け入れている日本をベースに、いろんな番組を作ってもらえるとありがたいと思う。
- 開局70周年ということもあり内容の濃い番組で、VTRとスタジオのバランスがとてもよかった。答えが一つではない問いに対して、視野を広げてくれたように思う。多様性の捉え方もどんどん変化してきている中、今後もアップデートをし続けてほしいし、そのテーマ以外でも試行錯誤しながら挑戦を続けていくことに期待している。
この御意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。
「スタジオゲストの人選は、ミックスルーツについて語れるメンバーでトークを行ったが、今後は様々なマイノリティーの方からも話を聞きたいと思う。また、それぞれの人生が違っていて素晴らしいということに重点を置いたために、深掘りが出来ていなかった部分もあった。
今後は、いただいたご意見を参考により良い番組づくりに活かしていきたい。」