第577回日本テレビ放送番組審議会は、2023年度下期の番組種別時間の報告をした後、3月31日に放送された『真相報道バンキシャ!』の合評を行いました。“気になったニュースの3日後の真実”をコンセプトにして、2002年から放送している番組ですが、今回は紅麹による健康被害問題、能登半島地震から3か月経った被災地の今、林家木久扇師匠の『笑点』卒業を取り上げました。(2名リポート)
- 自分も飲食店をやっていて、紅麹パウダーが入っているものを回収して使えなくなってしまった。今は紅麹と一括りになっているが、もう少し細かいところが伝わると良いと思った。
- 明日から新年度という気分でいたときに、前向きになれるメッセージはタイムリーで、多くの働く人が元気になったのではないかと思う。
- 林家木久扇さんは日本で最も愛されている「おバカキャラ」であることは間違いないし、ご自身もいい意味で使っていると思うが、今の時代は言葉だけが独り歩きする。「おバカ」という言葉をマスメディアの中でどう使うのか、自分だったらどう判断するだろうかと思いながら見ていた。
- 外国人観光客として登場する人が白人だけだった気がする。海外から来た人には色んな人がいるということを、何か表現できたらと思う。
- 能登の人口減少の問題は、活字メディアでもかなり出てきているので、出来ればもう少し掘り下げてほしかった。こういうマクロな課題は、そもそも震災だけが原因ではないので、難しいことなのかと思って見ていた。
- 2か月前の映像と現在の映像の両方が流れることによって見えてくるものがあると思った。能登の住民の方の顔が見えるような取材を、これからも続けていただきたい。
- 一人の人間としての木久扇さんの言葉を初めて聞いた気がする。番組を卒業しない限りは、聞くことが出来ない言葉を聞くことが出来たと思った。
そして、全体的に見やすい番組だったが、ややあっさり流れすぎていると感じた。 - 紅麹の問題は、専門家に話を伺ったりして、いかに深掘りをして正確な報道をしていくかが求められていると思う。不安をあおるということではなく、あくまでも客観的に正確に専門的見地に基づいた報道をし、分からない部分は「分からない」ことを明確に出すことが社会にとってもいいのかと感じている。
- 木久扇さんの卒業も、立川晴の輔さんの新メンバー発表も、翌日の複数の新聞の社会面に出ていたこともあり、社会的な話題。『笑点』はそういう社会的に広がりのある番組になっているので、この番組の最後に持ってきたのは良かったと思う。
- “機能性表示食品”という制度の根本的な問題からやらなければならないのに、プベルル酸に引っかかりすぎているのではないか。皆がこの制度を理解していないと思うので、この問題に光を当てるべきだと思った。
- 司会の桝さんにジャーナリスト的な嗅覚が感じられない。最後のコメントにキレが欲しいし、もう少し入れ込んで欲しいと思う。
- 原因と推定されるプベルル酸の実験で、マウス実験で投与した量が示されていなかったため、「一概に比較はできませんが」というような補足があるといいのではと感じた。未知の部分もあるからこそ、参照している結果の意味を少し補足することも大切と感じた。
- 人を笑いものにするのではなく、自らで笑わせるという木久扇さんの笑いはとても新しかったのではないか。今の時代に求められていることでもあり、素敵だが難しいことだと改めて思った。いい気付きを与えてもらった。
この御意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。
「紅麹問題について、今回はプベルル酸に特化した取材を行いましたが、未知の成分であったため思うように情報が集まらず、調査が不十分であったと認識しています。能登半島地震から3か月の取材について、焦点の当て方や掘り下げ方が甘いというご指摘も、これからの課題として受け止め、スタッフ一同、考えていこうと思っています。」