第578回日本テレビ放送番組審議会は、5月8日に放送された『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』2時間スペシャルの合評を行いました。1996年から放送している長寿番組で、今回はハリウッド俳優のアンセル・エルゴートさんが行く青森県の「ダーツの旅」や、日本で唯一、マンガ学科のある熊本県の公立高校で漫画家を目指す高校生に密着した企画のほか、京都での「また会いましょうの旅」を取り上げました。(1名リポート)
- 今回の放送内容に限らず、よくここまで一般の人のプライベートを聞き出せると思う。人の魅力を引き出す独自のノウハウや取材術という観点で見ても凄いという気がする。
- 気になったのは、インタビュー相手に年齢を必ず聞くこと。そこから話が広がるのは分かるが、年齢という情報にどれだけ意味があるのかを考えても良いのではないかと思った。
- 自分が学生のころから見ているが、平和にほっこり笑わせるのがこの番組のいいところだと思っている。若い世代を中心に、そういう番組が受ける傾向があると感じているので、引き続きこの空気感を大切にしてもらいたい。
- 一般の人が自分自身を下げたような言い方をしていた部分をそのまま使っていた。人によっては不快に感じると思うので、編集すればよかったのではないかと思った。
- どこを切っても嫌な感じがせず面白いという稀有な番組で、具がたっぷり入ったサンドウィッチみたいな印象。全国を取材していると地方の過疎化や高齢化を痛感しているのではないかと思うが、マンガ学科の取り組みは、他の地方の人たちにもヒントになるのではないかという気がする。
- 「ネタ掘れワンワンの旅」は芸能人が特別にサービスされたりするテレビでよく見る光景で、見応えとしては下がる感じがした。でも、犬が立ち止まったところを取材するのは面白い方法だと思うので、これからも色々な切り口で磨いていって欲しい。
- 委員としてこれまで見てきた番組の中で、一番良い内容だった。新宿の街頭インタビューに出てきた若い女性は多様性を表現する意味でいいと思ったし、地方創生に関する話題も、人間に焦点を当てて見せることが重要だと思った。
- 所さんのリアクションは、見ている側が自分と同じだと嬉しい気持ちになるという珍しい人だと思う。気になったのは、若いディレクターが女性を呼ぶときに「お姉さん」と言っていたこと。親しみを込めているのは伝わるが、ちょっとだけザワっとした。また、恋愛至上主義的なことが嫌われている中で、3人の女性に「恋愛していますか?」とストレートに聞くシーンも、ちょっとザワっとした。
- アンセル・エルゴートさんの目に青森県の町がどんなふうに見えたのかという言葉が聞きたかった。
- 見終わって、ほっこりしつつ、ちょっと前向きになれるような温かい番組だと思った。1年間密着するうえで、出てくれる人の許可を取る作業は大変ではないか?と思った。出たくない人もいるかもしれないので、そのあたりを配慮していただきたい。
- 字幕スーパーの字が大きい。画面を見ると字ばかりになり、つい目がそっちに行ってしまうのでもったいないという気がする。
- ダーツの旅に出演した町長が、今回の番組を受けて地方創生につなげていけるかが、地方で生きていく者にとって大事なことだと思った。マンガ学科も今の新しい高校教育をうまくフォローアップしていると思ったので、続編をお願いしたい。
- 番組を見ていると、ほんわかするような印象を持ち、素晴らしいと感じたが、花束リレーの企画はすべて隣の人に渡していたので、どうなのかと思った。
- “恋のゆくえ”のテーマは番組を隅々まで見ている人は理解できるが、何かをしながら聞いている人は分からないかもしれないので、冒頭に少し説明が欲しいと思った。
この御意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。
「カメラに映った方には全て許可を取っており、許可が取れない場合は使用を諦め、未成年には、取材後に必ず保護者に連絡して放送している。
一般の方の出演は、この番組にとって非常に大切なため、誰かが不快な思いをしないか常に配慮しながら、今後も丁寧な編集にも気を付けていきたい。」