第579回日本テレビ放送番組審議会は、6月9日に放送された『ザ!鉄腕!DASH!!』2時間スペシャルの合評を行いました。「地球にいいこと、人にいいこと。」を提案する日本テレビのキャンペーン「Good For the Planet」の最後を飾った番組で、東京湾の深海生物の生態系を調査する「DASH海岸」と、島に電話を開設するプロジェクトを特集した「DASH島」の2本立てで放送しました。(1名リポート)

  • 29年という長寿番組の蓄積と、スペシャルということもあり充実していた。
    過去に使ったものを再利用するところが「Good For the Planet」の趣旨に沿っていて、なるほどと思った。
  • 出演者が男性ばかりなので、今後は自然の専門家や色々な方も含めて出演者のダイバーシティを広げるといいと感じた。
  • 生物の多様性や循環についてテレビを通して楽しく学べたので、子供も見て楽しいだろうと思ったが、2時間も番組があったのに電話の企画は最後がなかったので、番組内で完結してほしかった。
  • 教養番組、ドキュメンタリー、バラエティーの要素があって、唯一無二のコンテンツだと思うし、国分太一さんを見ていると、Z世代の若手に対するコミュニケーションの仕方が素晴らしいので、ビジネスパーソンとしての学びがあると思った。
  • 自然の中で何かをしながら生活するのはワクワクすることで創造性が刺激される。性的表現、暴力、いじり、批判、過激な笑いがなく、凄く貴重な番組で子どもにも安心して見せられると感じた。
  • 子供たちがテレビを見なくなってきている状況を踏まえると、番組から一部を編集して配信したり、学校と組んでタブレット端末の動画にしたりする取り組みも検討してもらいたい。
  • 新しいレギュラーがどういう人たちなのかが分かると親切だと思ったし、割と苦めの結末や、あまり上手く行かなかったことも教えてくれるこの番組に大きな信頼感があるので、電話は結末も伝えてほしかった。
  • レギュラーメンバーが年を重ねて体力的にきつくなっている気がした。かなり危険な作業もあったので無理をしないで欲しいと思ったのと、これからメンバーの高齢化と地方の高齢化が重なっていくと思うので、日本の高齢者にとっても面白い番組になっていく点に期待している。
  • 2つのテーマでも飽きずに最後まで見させる面白さがあった。この番組の精神自体が“グップラ”なので、普段着で企画したのではないか。出演者が体全体で表現をしていることがこの番組の一番の魅力であり、大きな特徴だという気がする。
  • 大人が一生懸命、時間と労力をかけて自然についてみんなに考えてもらう番組としては良いと思うが、子供たちはどんな感覚を持つのか?男の子だけではなく、女の子も入れるなど、出演者の工夫ができるといいと思った。
  • 無人島で電話をつなぐというテーマは科学実験の意味合いが濃く、自分でもやってみたいと思えるような工夫がこらされていて良かった。こういう内容を教育番組ではなく、娯楽番組の枠組みで制作するのは、テレビ局の力だと思った。
  • 企画準備、事前のリサーチなど、手間がかかっていて制作に骨が折れると思うし、視聴者にその労力が投入された効果が伝わってくる番組だった。

この御意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。

「電話の結末が紹介できなかった件については、今後はできる限り時間内で物語を描き、次の週には新しいチャレンジを見せたいと思います。また、メンバーについては、女性がトライする企画も始めていることもあり、今後は更に様々な人たちがチャレンジする形を目指したいと思っています。」

また、会議の冒頭でドラマ『セクシー田中さん』の社内調査結果について報告し、委員からご意見を伺いました。
委員からは…
 

  • こじれた原因に、時間がなかったことや契約を交わしていなかったことが挙げられるのであれば、これまでの作り方と同じでいいのかということを問い直す時期なのかもしれない。
  • 外部関係者へのリスペクトが足りないのではないかと思った。丁寧なコミュニケーションに関する「啓発や研修」をしっかりやってほしい。
  • オリジナルと原作ものは車の両輪のごとくあってほしい。オリジナル脚本を書ける脚本家がいかに大事か、ちゃんと育成しているのかも考えるべき。
  • 報告書を受けて、これからどうしていくのか、遅くならない時期に視聴者に表明してほしい。


といったご意見をいただきました。これに対し日本テレビは、
「現在、制作現場を中心に【ドラマ制作プロセス適正化推進チーム】をつくり、社内各所と連携して、制作体制などの具体的な改善策を検討中で、できるところから実施を始めている」
と、お伝えしました。