第580回日本テレビ放送番組審議会は、6月29日に放送された『山の上の大家族!本多さんチ 3男4女「泣き笑い」14年』の合評を行いました。
この番組は「news every.」の特集コーナーで放送された企画をまとめて、初めて全国ネットで放送したもので、静岡の山で暮らす大家族・本多さん一家に2011年から14年間にわたって密着取材を行い、親子とは何か、夫婦とは何か、家族とは何かを考えました。(1名リポート)
- 過疎化対策や移住にもつながると感じ、こういう場所での生活を取り上げるのはとてもいいと思ったが、姉妹に対する感情をスタッフが聞くのはどうかと思った。大人が促すような形で子どもに話を聞くのは、良くないのではないかと感じた。
- 亭主関白気味の父親が独断で決めた話を無批判にクローズアップして、いい話風にするのは全く共感できず、子供も納得していない。テレビでエンタメとして消費して、スタジオで「いいな」と言っていることに違和感があった。
- 家族それぞれの考え、目線、思いがあり、誰もが自分を投影できる人がいるのではないかと思ったし、父親は決して完璧ではないが、人間味をさらけ出しているところが良いと思った。
- 揃いも揃って美男・美女の家族のため、見た目の美しさに目が行ってしまう。ルッキズムが問題視される時代、どこまで番組内で触れるべきか、どういう判断をしたのかが気になった。
- 番組全体として明らかな意図が見えないのが良いと思った。出演者のコメントも多くなく、映像を中心にしていたのは良かったが、縦のワイプに目が行ってしまうのは気になった。家族のプライバシーが明らかになっていくのは、今後、難しいことも出てくるのではないかと思った。
- 「家族の仲がいい」だけで終わらず、離婚という夫婦の問題も描いていることで、日本全体の変化も織り込まれていることに納得した。
- 取材のインパクトに比べて、スタジオのコメントが物足りないという印象を受けた。批評精神や疑問を呈するようなコメントがあれば、もう少し立体的に番組を見ることが出来るかもしれない。
- 大家族ものはあまり得意ではなく、久しぶりに見た。今までのものと比べると、ちょっと都会的な番組という感じがした。食べ物の奪い合いや出産のシーンもなく、生活が穏やかに見えるのは、編集のセンスがいいことで、無理やり「大変だ、大変だ」と仕立てていないからだと思う。家族にはもっと複雑な感情があるはずなのに、ベタにまとめている気がした。
- 印象的なシーンをたくさん見ることが出来たが、他者の視線があることによって、家族のあり方は変わってしまう。兄弟姉妹の中には、複雑な思いを持っている人もいるだろうと思った。
- スタジオの人数が多すぎるし、そのコメントがずっと入り続けるのもどうかと思った。もう少し、こちらに考えさせてくれる時間も欲しかった。
- 子どもの成長期は興味深い。変わり方が劇的なので凄く魅力がある。子ども7人のうち長男と長女が親の背中を見て、同じ道に進みたいと言っているのは父親への評価であり、父親にとってはうれしいことではないかと思う。
- 学校に行くために、毎朝車で送り迎えしたりして母親の苦労は大変だったと思う。いろいろあったと思うが、子どもと一緒に山を下りた母親に次回はもっと光を当てて見せてもらいたい。
- 14年間を一度に映そうとすると、テンポが速くならざるを得ないのかと思うが、年表的なものが途中にあると、頭の中を整理しながら見られるのではないかと思った。
- 本多さん一家とスタッフの信頼関係が伝わってきた。家族それぞれの心境に寄り添って取材している様子が、見ていて素敵な関係だと思った。
- 余韻を残して番組は終了したが、長い人生の中で家族の形も変わったり、苦楽があったりすることが、筋書きのないドキュメンタリー。長期間にわたって取材を継続することは大変だと思うが、テレビの強みだと思う。
皆様のご意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。
「見た目についての発言は、事前に番組内でも話し合いを行ったが、どこまで言うべきだったかは、いただいたご意見を参考に今後も検討します。
また、撮影については、ご家族と話し合いながら行っており、今後も撮影が与える影響の可能性を常に考えて慎重に行なっていきたい。」