第587回日本テレビ放送番組審議会は、2024年度下半期の番組種別時間について報告をした後、3月23日に放送された『オー!マイゴッド! 神々の職人技大公開SP』について合評を行いました。この番組は、秘かに自分だけが信奉する人を“神”として、その職人技や気になる半生などを聞きだしていくバラエティーです。
(1名欠席)

  • 番組は全体的に面白かったが、弟子入りと言っている割にたった1回で終わっていて、それで“お墨付き”と言えるのか?何度か通った後に“お墨付き”をようやくもらえるのがフェアな印象で、言葉のギャップを感じる。
  • ヒロミさんには、昔の“やんちゃ”なイメージがあって、セレブの小泉孝太郎さんとは真逆な感じ。この2人が、凄い人たちを前に素直に感動している姿にいろんな人が共感できるので、起用が良かったと思った。
  • 紙媒体の人間としては“神”という言葉を使うことに神経質になるので、タイトルに入れた意図を知りたい。また、食品ロスが問題になる時代なので、あの20万円のマグロがその後どうなったのかも気になった。
  • ヒロミさんが自分でYouTubeを見て勉強し、包丁さばきを練習したのは凄いと思った。また職人技というだけで片付けずに、科学的なことを入れていたのが面白かった。
  • 「ジブリはなぜこんなに愛されるのか?」という問いが何度も立てられていたが、実際に見せているのは立体造型なので、どこか腑に落ちず、ロジックの通し方が違っていたら良かったのではないかと思った。また“神”という言葉の使い方は、バランスが難しい時代だと思う。
  • ヒロミさんは何をやっても器用にこなすので、神の凄さよりヒロミさんの凄さの方にスポットライトが当たりがちだった。「神を霞ませて良いのだろうか」という感じがした。
  • ジブリ映画について語られるのかと思ったら立体造型が中心だったので、ややポイントがずれた気がするが、好きなことを仕事にしている人が生き生きと働いている光景を見るのは気持ちが良く、子供にも良い影響を与えるのではないかと思った。
  • 4歳の息子と一緒に見たが、お寿司もジブリも子供のリアクションがとても良かった。でも、ジブリの立体造型は中途半端な印象があった。“職人技”という言葉がタイトルに入っているので、職人性やクリエイティブに、もっと寄り添うものを見たいと思った。
  • “神様”とか“神”という言葉を軽々しく使うことで番組の素晴らしい部分が淀んでしまうのは非常にもったいない。無意識に使ってしまう言葉だからこそ、テレビで発信するときに大切にしなければならないと思う。
  • 現場に長嶋一茂さんがいることで、変な緊張感があった印象を受けた。第三者の目線があったことで、番組に深みが出たというか、馴れ合いではない部分があり、キャスティングが成功したと思う。
  • 全編を通して過剰なBGMやナレーションが殆どなかったので、ロケが成功しているケースだと思った。後半のジブリで立体造型の作家が吐露した言葉が自分の共感があった。
  • ジブリに関して中途半端というコメントがあったが、様々な観点で触れていくと、もっといい番組になるのではないかと思った。

皆様のご意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。

“神”という言葉については、「匠」や「職人の神技」などの意味合いを持たせていますが、“神”には宗教的な重みがあるため、言葉の使い方には、今後とも細心の注意をしていきたいと思っています。

また、合評後には3月24日に放送された『月曜から夜ふかし』で、中国出身の女性に対する街頭インタビューを意図的に編集し、発言の趣旨と異なる内容を放送したことについて報告しました。委員からは
「放送の信頼を損なう重大な問題だ」
「作り手の偏見を感じた」
「面白い内容にするストレスやプレッシャーが根底にあったのではないか」
「なぜこのような結果になったのか、しっかり検証すべき」
など、厳しいご意見をいただきました。

その後、BPO放送倫理・番組向上機構は4月11日に審議入りを決定。
日本テレビは審議対象になったことを重く受け止め、真摯に対応してまいります。