第590回日本テレビ放送番組審議会は、6月の東京都議会議員選挙と7月の参議院議員選挙を迎えるにあたって、日々の情報にどう向き合えばいいかを考えるキャンペーン「投票前に考える・それって本当?」を中心に、日本テレビ全体の『選挙関連報道』についてご意見を伺いました。(全員出席)

  • 選挙があるたびに社会の分断が深まっていく気がしている。年齢のギャップや所得格差、外国人を排斥するような流れも顕著だが、各局の選挙報道も影響していると思う。賛成か反対かで分断している危機感があったので、誰が良いかを選ぶ物差しを提示することは重要なことだと思った。
  • 党首討論と銘打っているが、そもそも討論に至っていないのではないか。
    他局の番組の方が、討論や対話がなされているような印象を受ける。
    公平性を丁寧にやっていた一方で、何かが得られたとか、グサッと来るようなものが少なかったと感じた。また、CM中の党首の姿を流していたのはとても良く、石破さんの言動などが垣間見られて面白かった。
  • 石破総理がアナウンサーを恫喝したような切り取り動画に対して、事実を丁寧に解説している動画があり、こういうテレビ局でしかできない取り組みが素晴らしいと思った一方で、各党の主張が本当に正しいのか、矛盾がないのか、矛盾があったらどう変わったのかを、テレビ局としてやっていくことが一番正しいのではないかと感じた。
  • 今回の選挙は、差別とヘイトを垂れ流している報道で、それが公平なのかと言われると同意しかねる。差別やヘイトスピーチ的なものに関しては、きちんと「ダメである」と声を大きくして言っていただきたい。もし、選挙報道の時に難しいというのであれば、そういうことを含めて持続的にやっていただきたい。
  • デマが多くはびこる中で、民主主義を守ろうという責任感を感じた。こういったことは、選挙前に限らず常にやってもらいたい。700人もいる国会議員に対して、「あなたは議員として何をしたのか」、「質問は何をしたのか」などと、普段から積み重ねることが、民主主義の足腰を鍛えるのではないかと思っている。
  • ディープフェイクに関する動画の中で、女性記者が非常に淡々と対話をし、若いインフルエンサーに対して遠慮も忖度もしないコミュニケーションがとてもいいと思った。
  • 「テレビによるSNSの闘い元年」という印象を受けた。言論の自由とヘイトが選挙の時に両立しているのは納得できない。ヘイトを当たり前に耳にすることに皆が慣れてきているが、その土壌を作ったのはオールドメディアかもしれない。選挙報道とヘイトの問題は、今後の大きな課題として取り組んでもらいたい。
  • 「日本ファースト」や「日本人ファースト」を掲げる政党は、SNSの戦略に非常に長けていて、支援者の熱量も高い。特に「外国人」というテーマでループ化が起きている。マスメディアが取り上げることによって、強めの主張をしている政党が更に躍進するというループに貢献している可能性もある。
  • まともなことを言っている政党に注目してあげられるのは、マスメディア。大々的に注目する必要はないが、そういう政党も含めて報じることもできる。過激なものばかり注目されるネットの世界で、あまり注目されないものを拾うのもマスメディアの役割かもしれないと感じている。
  • どちらかというと、政治の初心者に向けた企画で非常に見やすいものが多かった。「誰でもだまされる」や「不確かな情報とどう向き合うか」で、ある種の“ファクトチェック格差”が生まれている気がしている。「情報を検証する癖をどのようにつければいいか」や、「自分でどう考えたらいいか」にも踏み込んで、今後は放送してもらいたい。
  • 「参議院は解散しません」や「デスクって何ですか?」という素朴な疑問みたいなものをかみ砕いて説明する企画は、選挙前だけでなく今後も継続して欲しい。
  • 「参議院報道ライブ、投票誰にする会議」が面白かった。東京の選挙区の主要な立候補者を同じ時間の枠で見せていて、各党の政策や人となりもよく分かったので、新しい試みとして今後もぜひ続けていただきたい。

皆様のご意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。

今回はSNSの影響が強くなった今の時代に合わせて、放送だけでなく配信でも積極的に情報発信する方針で行いました。
ヘイトスピーチや外国人の問題は、選挙期間だけでなく、本質的な問題はどこにあるのかを追跡して、選挙後も調査報道をしていきたいと思っています。