第591回日本テレビ放送番組審議会は、今年で48回目を迎えた24時間テレビを取り上げました。今年は「あなたのことを教えて」をテーマに、能登半島地震で途絶えてしまった伝統の「キリコ祭り」の復活を、石川県出身の浜辺美波さんが伝えるなど様々な企画を放送し、ご意見を伺いました。(リポート1名)
- 以前から好んで24時間テレビを見る方ではなかったが、これほどアゲンストの風が吹いている時も無かったのではないか。しかし、見終わったときには、「今の時代に必要とされているのか?」というプレッシャーに、勝つことが出来たのではないかと思った。
- ダンスのコーナーでは参加者が多く、どんな背景を持った人達だったのかが分からなかった。なぜこのオファーをしたのか、なぜこの人がオファーを受けたのかなど、もう少し丁寧に紹介してほしかった。
- 自分も能登に何度か行っていて、関心を持たれなくなってしまっていることを何とかしたいと思っているが、ああいう形で取り上げたことは凄く良かった。最後に子ども達が一言スピーチをしてくれたが、生中継でつないだ時にもう少し喋ってほしかった。もう少し話を聞けたら、さらに応援したいという気持ちになったと思う。
- ダンスのコーナーは、豪華な人たちがダイナミックにスピード感のある踊りを短い時間で披露したので、テレビらしくとてもいい企画だと思った。
- 「上田と女が吠える夜インターナショナル」はとても素晴らしかった。最初はステレオタイプかと思ったが、そのうちに国と国ではなく個人の違いと多様性が見えてきたところが良かった。多様な議論が多かったので、是非シリーズ化して欲しいと思った。
- ヒロミさんのリフォーム企画で取り上げた「きょうだい児」は、言葉自体があまり知られていない。ケアする人の周りにいる人をケアするという、非常に素晴らしい企画だと思った。
- 24時間テレビはSNSで叩かれやすいコンテンツだが、Yahoo!リアルタイム検索で見たら、放送中はポジティブな反応が多かったので、肯定的にとらえている人は結構いる。良い番組をこれからも作り続けて欲しいと思う。
- 能登の企画で、生徒会長をいじる場面があったが、最近は学校現場でイジリと称したイジメが問題になっている。思春期の子供で生徒会長という立場ではノーと言えなかっただろうということも踏まえて、あの場面ではもう少し慎重でもよかったと思う。
- 普段、目を背けているのに、24時間テレビの時だけ取り上げて「みんな凄いね」というのは、いかがなものかと思ってしまう。残念ながら障害やハンディキャップを抱えている方を扱う番組は少ないので、24時間テレビから派生していく段階にきているのではないかと思う。
- 寄付金の使い道がしっかり示されていたり、募金箱に封をする姿が見られたり、かつてよりお金をきちんと扱う姿勢が見られたと思う。今後、このお金をどう使ったのかも示して欲しい。
- 温暖化が進んでいる時代にマラソンは大丈夫かなという気持ちになった。頑張るというのは一つの見どころではあるが、暑さが尋常ではなくなってきているので、少し考え直す時期なのかと思う。
- テーマソングの『サライ』の冒頭の「遠い夢すてきれずに故郷を捨てた」という歌詞が古くなっている感じがする。故郷にもう一回戻ってくれる何かを、24時間テレビではテーマにしてもらいたい。
- 歴史的に一番暑いこの年に100キロのマラソンは普通ではできないし、皆がハラハラしながら見ているから募金したというところもあるかもしれないが、体育会系のテレビという印象が強くなりすぎるのではないかと思った。
- 震災から1年半を経て、離れ離れになった人たちを結びつける「キリコ祭り」が描かれ、「能登はやさしや土までも」の言葉が番組全体に滲んでいた。そのクライマックスは太鼓のシーンだと思うが、構成が十分に練られていない気がした。
- 浜辺美波さんのふるまいには好感が持てて、ナレーションも耳に入りやすかった。レポーターの役割に加えて、VTR明けのスタジオで自分の取材を通して感じた思いをもっと丁寧に拾ってあげても良かったと思う。
皆様のご意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。
今まであまり描かれることがなかった「きょうだい児」など、もっと知ってもらうべき方たちを幅広く取り上げるチャレンジをしました。反省する点は来年の番組にも引き継ぎつつ、今後とも24時間テレビが必要とされる番組であり続けるために色々と考え続けていきたいと思っています。