第595回日本テレビ放送番組審議会は、土曜ドラマ『パンダより恋が苦手な私たち』を取り上げました。人気小説が原作のこのドラマは、仕事や恋、人間関係に悩む女性雑誌編集者と、動物の求愛行動にしか興味がない変わり者の大学准教授が繰り広げる新感覚のアカデミック・ラブコメディーで、今回はその1話から3話を見ていただきました。(1名リポート)
また、審議の冒頭で「日本テレビドラマ制作における指針」についてご説明し、原作者と時間をかけてコミュニケーションを取るなど、丁寧なドラマ制作に取り組んでいることをお伝えしました。

  • 舞台が雑誌の編集部で、自分も月刊誌の編集長ということもあり、色々と突っ込みながら見て、小雪さんのセリフにかなり共感した。女性編集長は冷徹無比に描かれがちだが、怖い人ばかりではないことを伝えたい。
  • 恋愛ドラマにはちょっと興味が持てなかったが、希望通りにならない人生の中で自分に折り合いをつけることを提示してくれるように思い、単純に恋愛だけじゃないドラマだと気が付いた。
  • 恋愛ドラマはどうやってみたらいいのかと斜に構えてしまったが、見始めるとどんどんハマった。ちょっと勇気をもらえるというか、後ろから支援してもらえる仕立てになっていて、ライトで早いテンポで進むのが気持ち良く、面白い番組になったと思った。
  • 人間社会ではどうしても人同士を比べたがるが、動物と比べることによって「人らしさとは何だろう?」など、これまでと違う観点で考えることがユニークで、子どもと一緒に見ても面白いと思った。
  • 主人公が「あなたはどうしたいの?」「あなたの企画は何なの?」を問われる。「どう生きたいのか」を仕事や恋愛を通じて問われていくという自己決定の重要性をテーマにしているのは価値がある話だと思った。
  • 幼い時から「何をやりたいのか」が問われる昨今、やりたい仕事に就くことはなかなかできないという矛盾の中で、ドラマが描いていることが実際に起きているというのが凄くリアリティーを通して伝わってきたので、現代を上手に切り取っていると思った。
  • コンテンツビジネスはどうやって経済的に成り立たせるかが必要なので、データを見て指摘する管理職を「冷たい」とフレーミングするのは、職業観として良くないのではないかと思った。
  • 動物の求愛行動の豆知識を皆知らないので面白く伝えているが、YouTubeを見ていると、そういったものはショート動画で人気になっている。ドラマの切り出しや名場面はもちろんだが、それだけでもう一本オリジナルコンテンツを作って連携すれば、より視聴者の間口を広げる意味でもいいのではないか。
  • 雑誌の苦境やライターの仕事の魅力を伝えていて、動物の小ネタも面白いが、1話にあった、人とのかかわりで相手の基準に合わせてふるまうことが果たしていいことだろうか?自分は全く逆の価値観を持っているので共感できなかった。
  • 2話、3話と面白くなってきた。ドラマはどんな奇策を練ろうともストーリー。たとえ状況設定がありえないものでも、芯の部分、根っこの部分でリアリティーが感じられれば、共感が得られるのだろうと思った。
  • このドラマは、野性味を失っている現代の人間や若者を刺激したいという感覚があるのかと思った。いろいろな動物の事例を見せながら「でも、人間も動物なんですよ」というささやきが聞こえてくるようで、軽い恋愛ドラマに見せておきながら、実はかなり重くて深い刺激を投げかけているように感じた。
  • 上白石さんが非常にコミュ力のある人として描かれて、いろんな扉を開けていくという展開になっていたが、今の若者が一番欲しい能力がコミュ力で、それさえ持っていればOKというところもあるので、あまりにもコミュ力だけで扉をバンバン開けていくとしらけるのではないかと思った。
  • 1話を見た後で原作を買い、読みながらドラマを見たが、かなり原作に忠実に描かれていた。研究室にいきなりペンギンが出てくるシーンは映像の技術によって出来ることで、テレビドラマは活字で読むのとは違って面白いなと引き込まれた。
  • 原作者は著作者人格権を持っているので、自分の原作のイメージを壊されたくない。それを守りつつ、脚本家は二次的な著作権者としての思い入れがあるので、非常に真摯に取り組まれているのがよく分かった。
  • 原作の素敵な点を上手に軽快にまとめていて素晴らしいと思った。脚本家と制作陣の工夫が、随所に散りばめられているように感じたが、「恋愛が全てではない、しなくてもいいもの」という点を、もっと早期に提示する必要があると思った。
  • 2話のラストで主人公が“顎クイ”をされるシーンがあったが、意識していない相手に突然触れられることを、ネガティブではなくキュンとして描くことは、少々時代錯誤に感じた。主人公の恋愛にまつわるシーンは丁寧に扱って欲しかった。

皆様のご意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。

今回のドラマはリアルとファンタジーを織り交ぜた作品ですが、そのバランスについては、今後、検討していきたいと思います。また、『日本テレビドラマ制作における指針』は日本テレビのホームページで公開しています。