野口英世  『誓いを刻んだ生家』

(2005/2/23放送)


一面の銀世界が広がる猪苗代。
茅葺き屋根の建物は、
世界を舞台に伝染病と闘った医学者、野口英世の生家です。


   
ある日のこと、
まだ二歳にも満たない英世を、悲劇が襲いました。
いろりに落ちて、左手に大火傷を負ってしまったのです。


   
   
   
女手一つで農業を営み、
自分を育ててくれる母親を助けるために、立派な百姓になりたいと思っても、
彼の不自由な手には、それは叶わぬ願いでした。
せめて勉強だけはと、眠る間も惜しみ励んだ少年・英世。


   
決して人前で左手を見せようとしない、
彼の胸のうちを知った小学校の級友たちは、
卒業間際、ある計画を実行します。
手術費用を集めてくれたのです。


   
術後、英世は動く手を見つめながら、
友情に涙し、医学の素晴らしさを知るのでした。


   
やがて医術試験を受けるために上京する際、
彼は柱にそっと刻むのです。
「志を得ざれば 再びこの地を踏まず」


   
夢を掴むための、十九歳の旅立ちでした。


野口英世  『誓いを刻んだ生家』

(2005/2/23放送)

今回の放送のBGM♪
「Falling」唄 Richard Marx
次回(3月2日)の『心に残る家』は
宋慶齢『未来に向かい続けた家』
をお送りします。
お楽しみに。