井伊直弼  『未来を見ていた彦根城』

(2005/4/27放送)


歴史遺産が数多く残る城下町、滋賀県彦根市。
琵琶湖を見渡すように佇む白亜の城は、
江戸時代の彦根藩主、井伊家の居城・彦根城です。
1850年、十三代目の藩主に就任したのは、
のちに開国の父と呼ばれることになる、井伊直弼でした。




   
たくさんいた兄弟の中で、十四番目の男子として生まれた直弼は、
家督を継ぐことも当然叶わず、
17歳のころから城の外で、暮らしていました。


   
物淋しい日々にあっても、
彼は国学や禅を熱心に学び、武道に明け暮れ、
自らを高めることに生き甲斐を見出したのです。


   
やがて35歳にして、思い掛けず藩主となった直弼は、
情け深い政治を司り、家臣や領民たちから広く慕われました。


   
1853年、黒船の来航により開国を迫られた日本。
その動乱のさなか、
幕府の大老に取り上げられた直弼は、
日米修好通商条約を締結させたのです。


   
井伊直弼が彦根城から見ていたもの・・・。
それはこの国の、確かな未来だったのかもしれません。


井伊直弼  『未来を見ていた彦根城』

(2005/4/27放送)

今回の放送のBGM♪
「you raise me up」唄 Josh groban
次回(5月4日)の『心に残る家』は
松尾芭蕉『さすらいの身を休めた「幻住庵」』
をお送りします。
お楽しみに。