第6章 王妃に仕えた家具調度品作家たち

ピエール=フィリップ・トミール
《ヴェルサイユ宮殿の王妃の寝室の薪台一対》

スフィンクスで飾られたこの薪台のデザインは、考古学的な正確さという点でそれまでのものとは一線を画している。王妃のための特別な注文の際にしばしば見られたことだが、制作には数多くの芸術家と職人が関わった。台座部分の雛形は彫刻家で装飾家のピガルが制作し、頭にネメス〔頭巾〕を被って恭しく座すスフィンクスの模型は王妃の公式の肖像彫刻家ボワゾが提供した。型抜きやブロンズ鋳造はそれぞれ専門の職人によって行われ、トミールが彫金を施した。トミールはまた台座に配された人面モティーフも考案した。王妃はこのデザインを気に入ったに違いない。というのは、その後、スフィンクスの装飾のある薪台やエジプト風の家具がサン=クルー宮殿のために注文されたからである。

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