第6章 王妃に仕えた家具調度品作家たち

マリー・アントワネットはヴェルサイユを初めとする宮殿の装飾に執着した。1778年、フランスがアメリカ独立戦争に介入したにもかかわらず、王室は王妃の贅沢な求めに応じたため、国家財政はさらなる危機に瀕することになる。
マリー・アントワネットの複数の王宮の装飾には多くの芸術家、職人がかかわったが、家具に関してはマリー・アントワネットのお気に入りはジャン=アンリ・リズネールであった。彼は当時の代表的な高級家具職人として知られるが、家具に限らず、王妃の注文したものを見れば、彼女の趣味の変遷がうかがえる。彼女は当時の流行に沿って、トルコ趣味(テュルクリー)と中国趣味(シノワズリー)に染まり、また、古代賛美、つまり新古典主義的な趣味にも魅了され、装飾モティーフとして花と真珠を好むという点は変わることがなかった。
なお、彼女が集めた日本の漆器のコレクションは「18世紀のジャポニスム」としても注目される。

作者不詳(パリ) 《寝台の上掛け》 1770年頃 絹、繻子、刺繍 248×200cm ヴェルサイユ宮殿美術館(国有家具調度保管庁より寄託) ©RMN-GP (Château de Versailles)/Droits réservés
ピエール=フィリップ・トミール 《ヴェルサイユ宮殿の王妃の寝室の薪台一対》 1786年 ブロンズ、金鍍金 各48×55×19cm ヴェルサイユ宮殿美術館 ©RMN-GP (Château de Versailles)/Droits réservés
《桃形蒔絵合子(ももがたまきえごうす)》 17世紀末~18世紀初め 木、漆 6.1×10.2×13cm ヴェルサイユ宮殿美術館(パリ、ギメ美術館より寄託) ©Château de Versailles (Dist. RMN-GP)/©Jean-Marc Manaï
《籠目栗鼠蒔絵六角箱(かごめりすまきえろっかくばこ)》 17世紀末~18世紀初め 木、漆 6.5×9.9×9.4cm ヴェルサイユ宮殿美術館(パリ、ギメ美術館より寄託) ©神戸シュン/NTV

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