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花が逆立ち シクラメン
第808回 2005年11月27日


 この時期、白・ピンク・紫などの可憐な花を咲かせ、「冬の鉢植えの女王」と言われるのがシクラメン。なんと、毎年3000万鉢も売れるのだそうです。

 シクラメンといえば思い出すのが、皆さんご存知の、布施明さんの歌「シクラメンのかほり」。でも、シクラメンの香りって、一体どんな香りでしたっけ?街の人に聞いてみても、皆さんなかなか思い出せないのです。
 そこで、シクラメンの花の香りをかいでみると、なんと全く香りがしません。念のため、においの強さを数値の大きさで表す“においモニター”を用いて、花の香りを測定してみると、ユリの数値は44だったのに対して、シクラメンの数値は0か1程度だったのです。一体、なぜシクラメンの花には、香りがないのでしょう?
 専門家の方によると、品種改良しているうちに、段々香りが無くなってしまったとのこと。ということは、品種改良される前の、原種のシクラメンには香りがあったということなのでしょうか?
 そこで、シクラメン・プルプラッセンスというシクラメンの原種の1種の香りを、所さんにかいでもらうと、ちゃんと香りがあったのです。

 スタジオに登場したシクラメンを見て、所さんが気づきました「あれ?シクラメンって、上向きに咲いていると見せかけて、下向きに咲いている!!」なんとシクラメンの花は、上からのぞいてもおしべやめしべが見えませんが、下からのぞくと見えます。実は、シクラメンの花は下向きに咲いていて、花びらが上向きに反り返っているのです。一体、なぜそんな咲き方をしているのでしょう?
下向きに咲いているシクラメン断面  その理由は、原産地の気候に関係がありました。シクラメンの原産地は、地中海沿岸で、シクラメンの花が咲く冬は雨が多いのです。もし、シクラメンの花が上を向いて咲いていると、水に弱い花粉が濡れてしまうのです。
 ちなみに、上を向いて咲いているチューリップなどは、雨の日は花弁を閉じて雨から花粉から守ります。一方、シクラメンは、下向きに花を咲かせることで雨から花粉を守っていたのです。

所さんのポイント
ポイント1
シクラメンの花は下向きに咲いていた。
その理由は、雨から花粉を守るためなのだ!


 明治時代にシクラメンが、初めて日本に持ち込まれたときは「ブタノマンジュウ」という変わった名前が付けられました。その理由は、原産地では、よく野生のブタがシクラメンの球根を掘り出していたことから「sowbread(サウブレッド)=ブタのパン」と呼ばれていたのですが、当時日本では、まだパンが普及していなかったのでブタノマンジュウという名前がついたそうなのです。
巨大なシクラメンの球根  ところが、パンや豚まんよりもはるかに大きい、直径17cmの球根がスタジオに登場。どうやらこの球根は、20年以上も生き続けて、どんどん巨大化したらしいのです。しかし、通常チューリップなどの球根は、花を咲かせるためにエネルギーを蓄え、種子が出来ると小さくしぼんでしまいます。一体、なぜシクラメンの球根はこんなに大きくなるのでしょうか?
 実はシクラメンは、1枚の葉に対して1つの花が咲くという仕組みになっていて、葉が作り出したエネルギーで花を咲かせています。よって、花が枯れても球根はしぼむことなく、次の年に向けて葉から栄養を受け取りどんどん巨大化していくのです。
 毎年3000万鉢も売れているシクラメンですが、実は上手に育てれば、なんと越年も十分可能なのです。シクラメンを長生きさせるポイントは、以下の通りです。

(1)
水を与えすぎない
(原産地は降水量が少ないので、シクラメンは水に弱く根や球根が腐りやすい)
(2)
1日2時間は日光に当てる
(原産地では日光がよく当たる場所で育っている。家庭では窓辺などに置くと良い。)
(3)
夏に球根を冷暗所で休眠させる
(湿度が高い日本の夏は苦手。6月頃に枯れたら軒下などの涼しい場所で保管。そして9月頃に新しい葉が出てきたら、また元の場所に戻す。

所さんのポイント
ポイント2
シクラメンの球根は、栄養を蓄えてどんどん巨大化していく。
実はシクラメンは、上手に育てれば毎年咲かせることも可能なのだ!





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