知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


Xマス特集 サンタ 追跡
第862回 2006年12月24日


 クリスマスシーズン真っ只中、先週の放送ではサンタクロースに会うために北欧の地フィンランドのサンタ村へ向かいましたが、なんとそこの家は仮の住まいでした。そこで今回は本当のサンタさんの家を訪ねてみます。

 本当のサンタの家はロシア国境付近のコルバトゥントゥリという山にあると言います。コルバトゥントゥリには頂上が2つあり標高は483m。日本語でコルバが耳、トゥントゥリが山、つまり耳山という意味で、よく見ると横になった耳にも見えるのです。矢野さんはサンタ村があったロバニエミから車で5時間のケミハーラ村で一泊し、そこからスノーモービルでサンタの家を目指します。そして、スノーモービルで進むこと5時間。遂にコルバトゥントゥリがやっと間近に見えてきました。この直後からはスノーモービルでさえ進むのは困難な状態で、雪の中を歩くことになりました。すると矢野さんは、出発したときは見上げるようだった森の木が人間と同じ背丈ぐらいの高さになっていることに気がつきました。これは森林限界と呼ばれ、高い樹木が森を形成できなくなる環境になった証拠。例えば、富士山の森林限界は2500m付近です。しかし北極圏に近く、気温が低いフィンランドでは標高200mの地点が富士山では2500mに当たる厳しい環境なのです。そしてついに登頂に成功した矢野さんは、頂上に小さな家を発見しましたが誰もいませんでした。そして、向こう側の山にもう一つの頂上が見えましたが、ロシア領でビザが必要なので断念。結局、サンタには出会えず、頂上の家も警備隊の小屋だったことがわかりました。
 しかし、何故フィンランドの人たちはこの山にサンタの家があると思っているのでしょうか?それは1927年、フィンランドの国営ラジオ番組を担当する人気パーソナリティーのマーカスおじさんが言った言葉にあります。『サンタクロースはコルバトゥントゥリ(耳山)に住んでいるんだよ!その大きな耳で本当によい子でいるか悪い子でいるかを聞いているのさ!』という一言がフィンランド中に広まり80年後の今でもサンタの家はコルバトゥントゥリにあると信じられているのです。さらに、コルバトゥントゥリにはサンタ伝説を巡るこんな話があります。第2次世界大戦時、フィンランドはソ連と戦い敗北します。勝ったソ連はコルバトゥントゥリをソ連領にしようとしましたが、フィンランド政府はこの山はサンタが住む大切な山だと説得し、結果現在のような山の間を国境がまたぐ形に落ち着いたそうです。

 さて、クリスマスツリーと言えば、当然モミの木ですが、実は本場フィンランドのツリーも、有名なニューヨーク・ロックフェラーセンターの巨大ツリーもモミの木ではないのです。日本のツリーに使われるモミの木は葉の先が2つに割れているのが特徴です。しかしフィンランドでは北緯50度より北ではモミの木が自生していないため、葉の先が割れていないトウヒという木が使われていました。ではなぜトウヒはモミの木よりも寒く過酷な環境で育つのでしょうか?それは葉の表面にあるクチクラ層がモミの木より厚いからです。この層はロウの成分を含んでいて寒さから身を守るのに役立つのです。ケーキの上で燃えるキャンドルさらに乾燥したこの2つの葉を燃やしてみてもクチクラ層が厚いトウヒの方が長く燃えていました。そこで、トウヒからクリスマスキャンドルを作ろう!ということで製油会社に協力してもらい早速作ってみました。まず薬品を使い、トウヒの葉からクチクラ層に含まれるロウを溶かし、ろ過すると黄色い液体が出てきました。そこで薬品を蒸発させ凝縮させていくとロウらしきモノがたまりました。目がテン特製クリスマスキャンドルの完成です。しかし、トウヒの木一本分からやっとできたのはとても小さなろうそくでした。

所さんのポイント
ポイント1
もみの木は北緯50度より北では自生できないため、ヨーロッパ北部のクリスマスツリーには寒さに強いトウヒの木が使われているのだ。

 ところで、矢野さんはまだ諦めずにプレゼントを届けにくるサンタさんを待ち伏せするという作戦に変更し、コルバトゥントゥリでお世話になったヨハニさん一家のクリスマスにおじゃまさせてもらいました。すると夕食前、ヨハニさんは矢野さんを氷点下10度の外へと連れ出し小屋へ連れていきました。そこはなんとサウナでした。そう、フィンランドはサウナの本場で、一家に一つ必ずあるのです。この日はクリスマスサウナと言って、サウナに家族全員が集合し、夕食の前にこの一年を家族で振り返る習慣があるのだそうです。10分間サウナで温まった後、ヨハニさんは矢野さんを酷寒の外へ連れ出し、表面の凍った川へ入れと言いました。サウナの後は冷たい水に入るというのがフィンランドの習慣だというのです。しかし、せっかく温まった体を何故冷やすのでしょうか?そこでこんな実験を行いました。
 チームを2つに分け一つのチームをサウナだけ、もう一方はサウナの後水風呂に浸かってもらいます。その後、冷凍車に入ってもらい、フィンランドの外気温と同じ氷点下10度で体表面温度の変化を調べました。「サウナだけチーム」が体を温めた後冷凍車へ移動すると、開始直後、温まっていた体も時間とともにどんどん冷えていきました。次に「サウナ後に水風呂チーム」が冷凍車へ移動します。水風呂に入った分、体表面の温度は下がっているはずですが、10分後でもほぼ最初の温度を保っていたのです。なんと、「サウナの後に水風呂チーム」の方が、身体は温まったままだったのです。その理由は、血管の収縮にありました。サウナに入ると熱で血管が拡張し血流量が増え体温が上昇します。その後、水の中に入ると急激に血管が収縮。体温を下げまいとする自立神経が反応し、身体自体が体温を上げようとするため冷えにくくなるのです。そのため、サウナ後冷たい水に入るのはなるべく身体をポカポカに保つ為のフィンランドならではの知恵だったのです。

所さんのポイント
ポイント2
サウナで体を温めた後冷たい水に入ると、急激に血管が収縮し身体自体が体温を上げようとするため、ポカポカ長く温度を保てるのだ。

フィンランドのサンタクロース  サウナから上がり、矢野さんがフィンランド流クリスマス料理を頂いていると、その時、扉を叩きついにサンタさんが登場!しかし、日本のサンタさんとは程遠い姿で、本場のサンタは子供たちも恐れるちょっと怖い姿のサンタさんでした。実は世界各国でサンタクロースのイメージは元々違っていて、それぞれの特徴が合わさってできたのが今のサンタだったのです。
 さて、なんと世界中の科学者が大真面目にサンタさんを科学していました。アポロ8号で実際に月の裏側を見た宇宙飛行士の第一声は『サンタを発見した』でした。この日、地球はクリスマスだったので宇宙飛行士の心憎いプレゼントだったのかもしれません。さらに北米航空宇宙防衛司令部・通称NORADでは、実際のミサイル防衛レーダーで52年間もクリスマスにサンタを追跡し、発見した場合に現場へ向かう戦闘機も待機しているとか。みんなサンタさんが大好きなんですね。



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