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戦国武将の健康法 の科学
第1266回 2015年3月8日


 今、密かに注目されている戦国武将達の健康法。平均寿命も短く、医療も発達していない戦国時代なのに、長生きして最後まで頭脳も明晰だった武将や剣豪の健康法には、現代人の私たちもマネしたくなる知恵が満載!

①小太りでも長生き!徳川家康の健康法

 2015年に没後400年を迎えた「徳川家康」。戦乱に終止符を打ち、260年以上続く徳川幕府を開きました。家康は将軍の座を譲り隠居した後も陰で幕府を操り、晩年まで頭脳明晰、75歳の生涯を全うしたのです。
 一体、どんな生活をしていたのか?専門家の静岡大学小和田名誉教授によると「自分で漢方薬を煎じたり調合したりして、今風な言い方をすれば健康オタク」とのこと。一説には、体調をくずさないよう、旬の食べ物以外は口にしないほど厳しい健康管理をしていたそう。
 ところが、首都医校 植田美津恵教授によると「晩年の家康は身長160センチ弱、胴回りはなんと120センチあったといわれ、現代で言えば明らかにメタボ体型であったと推測できる」とのこと。そこで家康と同じ背丈、胴回りの方を探してみました。まさしく家康と同じ、胴回り120センチ!これは完全なメタボ!タンクトップはピッチピチでお腹も出ちゃってます。
 太っていたのに、家康は、なぜ長生きできたのでしょうか?小和田名誉教授によると、家康は静岡の駿府城に隠居してからは特に鷹狩りに熱中!70歳の頃には年間でおよそ50回も行ったそうです!鷹狩りについて家康は「鷹狩りは遊びのためでなく寒くても暑くても関係なく走り回ることで病気になることを防げる」と書いていおり、健康のために鷹狩りに出ていたんです。肥満体型でも長生きできるほど鷹狩りは健康にいいのか?実際に検証です!
 今回、鷹狩り実験に協力してくれるのは江戸時代から続く鷹狩りを伝承している諏訪流放鷹術保存会の田籠さん。チームは、家康に扮したユージと鷹匠、さらに補佐役と、獲物を探す犬。獲物が見つかると、家康に鷹が渡され、鷹を放つという流れ。健康にいいポイントがあるか、筋肉のスペシャリスト、須藤教授に映像をチェックしてもらいます。
 鷹狩りの身体への負荷も測るため心拍数計と万歩計を装着し鷹狩り健康法実験スタート!!まずは犬が、獲物のキジの匂いを鼻で探します。一行は犬についていくのですが、犬は、急な坂道もおかまいなし。ここで早速、須藤教授は「雪で覆われていますがアップダウンがあり、バランスをとりながら歩かなければいけない。モモの筋肉そしてふくらはぎの筋肉をうまく使わないとまずバランスがとれない。さらに体幹の筋肉をつかっていることがわかる。」と解説。
 今度はやぶの中へ。キジはこういったやぶの中に隠れていることが多いそうです。ここで2度目の須藤チェック!!障害物に引っかからないように歩こうとすると、自然と足が高く上がり足腰が鍛えられます。実は、この運動をすることで、家の中の段差につまづいたり、転んでケガをするリスクが小さくなるんです。
 続いて、犬の変化を察知し、いよいよ鷹を持ってスタンバイします!ヤブからキジが飛んだら鷹を放ちます!いよいよ発見か・・・とここでも須藤チェック!!この時、人間の狩猟本能がかき立てられ、いわゆる興奮状態になるとアドレナリンが分泌されて脳が活性化するんです!
 残念ながらキジは出ず別の場所に移動すると雪の上にキジの足跡を発見。遠くの田んぼに鳥の姿が!このチャンスを逃すわけにはいかない!スタッフも全員走りましたが…カラスでした。その後もあきらめずに歩いて探しましたが、結局この日、獲物を捕まえることは出来ませんでした。およそ2時間で歩数は4299歩!心拍数は、高い値で134でした。
 須藤教授に体への負荷を計算してもらったところ「大体皇居を一周ジョギングするのと同程度の運動」とのこと。鷹狩りは5キロのジョギングに相当する運動でした!これを家康は70歳にして年50回とはスゴい!須藤教授は「徳川家康は肥満体型だったかもしれませんが、足腰などはしっかりしており力士のように筋肉など、しっかりついていたのではないかと推測できます」とのこと。単なる肥満ではなかった家康。鷹狩り健康法はかなり有効なようです。

所さんのポイント
ポイント1
鷹狩は『体幹のトレーニング』『転倒防止トレーニング』『脳の老化防止』になるのだ!

②日本一の剣豪!宮本武蔵に学ぶ脳の活性法

 13歳で初の決闘に勝利、以来60回以上、決闘で負けなしという剣豪・宮本武蔵!62歳で、霊巌洞という洞窟にこもり、剣の極意を記した五輪書を執筆。64歳、亡くなる一週間前には自身の生き方を「独行道21箇条」に書き残すなど、晩年まで頭はしっかり冴えていました。そこにはどんな秘密が?首都医校の植田教授によると宮本武蔵は健康の為に干飯というものを食べていたとのこと。武蔵が食べていた干飯とは玄米を炊いて1週間、天日干ししたもの。これがものすごく固いんです。植田教授による「武蔵はこれを袋に入れて持ち歩き、そのままボリボリとかじっていた」とのこと。もしかしてこの干飯に、武蔵が健康な脳でいられた秘密が?脳科学に詳しいトリノ大学医学部の神保客員教授によると、咀嚼回数が増えると、脳の血流量が増加、脳が活性化することが知られているそう。
 そこで実験!干飯と白米で1日の咀嚼回数はどれだけ変化するのか?同じグラム数のご飯、同じメニューで食べ比べます。まずは白米の朝食。咀嚼回数は204回。1日の合計は834回でした。翌日、干飯で実験。咀嚼回数は、なんと655回!1日の合計も2351回と白米の834回に比べて三倍近くに増えたのです。実は、噛む回数だけではなくこの固さも重要なんです。そこで、固さが違うと脳の血流量はどれだけ変わるのか見てみます。2分間噛み続けなくてはならないので白米の代わりに、柔らかさが近いガムと干飯で実験です。噛んでいる状態2分、休憩30秒を3セット繰り返します。結果は、どちらも脳は活性化していましたが、固い干飯のほうが黄色や赤に変化している場所が多く見られます。とくに赤くなっている側頭部は感情に関係する場所で、自分の気持ちをコントロールしやすくなり冷静になれます。その結果、集中力が上がるそうです。神保客員教授によると「認知症などは歯が丈夫だとなりにくいことが知られています。毎日しっかり噛んで頂いて歯を丈夫に保つということが脳の老化防止につながる可能性は十分あると思います」とのこと。宮本武蔵が生涯無敗だったのも晩年まで脳がしっかりしていたのも干飯のおかげかもしれません!

所さんのポイント
ポイント2
噛めば噛むほど頭が冴えるわけなのだ!ただ・・・干飯はめちゃくちゃ固いのだ!

③ストレス生活でも長生き!伊達政宗の老化防止法

 東北を統一した伊達政宗。彼もまた70歳まで生きた長寿な武将。しかし、幼い頃の右目の失明など波乱に満ちた生涯でした。18歳の時、敵を倒すため捕われた父もろとも撃ち殺さねばならなかったり、24歳の頃には実の母に毒を盛られて暗殺されかけたり、なんとか一命をとりとめたと思ったら数ヶ月後には豊臣秀吉の怒りを買いますが、これもギリギリで切腹を免れました。まさにストレスにまみれた生涯!静岡大学の小和田名誉教授によると伊達政宗は、おいしいものが大好きなグルメ大名とのこと。政宗は自ら料理もしたそうで、一説では仙台名物の「ずんだ」や「凍り豆腐」も伊達政宗が考案したと言われています。その中でも特に体に良いと言われているのが仙台味噌。その特徴を、醸造に詳しい東京農業大学の前橋准教授に伺うと、「仙台味噌は老化を抑える抗酸化物質というのをたくさん含んでいる」とのこと。人間はストレスを受けると免疫力を落とす活性酸素が発生しますが、抗酸化物質はその活性酸素を除去する力を持っているんです。その結果、老化防止にもつながると言われています。
 そこで検証!!仙台味噌はどれだけ抗酸化力が強いのか?味噌の原料の大豆をすりつぶしたもの、白味噌、仙台味噌で比較です。まず、それぞれから抽出した成分を試薬に入れます。色が薄くなるほど抗酸化力が強いということです。
 大豆、白味噌、仙台味噌…この中で、試薬に入れてすぐ反応したのは仙台味噌!
 その後もみるみる色が変わり、20分後には黄色になりました。味噌の原料になる大豆の抗酸化力はこれくらい。しかし、白みそは製造の過程で大豆より落ちてしまいます。仙台味噌は白味噌に比べて抗酸化力は10倍以上!
 その秘密を探るため、仙台味噌の工場を取材しました!まずは洗った大豆を一晩水につけ、たっぷり水を含ませます。その後、釜で強く蒸します。釜の中の温度は100度以上!実はこの「水を含ませて強く蒸す」のがポイント!多くの味噌は、蒸すのではなく、大豆を煮ます。その結果、イソフラボンという抗酸化物質が溶け出てしまうんです。一方、仙台味噌の水を含ませて蒸す方法なら、イソフラボンを多く残すことが出来るんです。蒸し上がった大豆は混合機に送られ、塩、水、麹と混ぜ合わされます。この時まだ味噌の色は赤くありませんが、この後発酵熟成に。長いものだと1年間も寝かせるそうです。これが二つ目のポイント!熟成をすると大豆のアミノ酸と麹の糖が反応し、メラノイジンという赤く抗酸化作用をもつ物質が作られるんです。熟成期間が長ければ長いほどメラノイジンが作られ、色が赤くなっていきます。1週間熟成の白味噌や、3ヶ月熟成の信州味噌に代表される淡色味噌と比べると、仙台味噌が赤いのは明らか!
 さらに香り!仙台味噌の香りの元は「HEMF」という物質。実はこれも抗酸化作用を持っているんです。ストレスにも負けず長生きした政宗の秘密は、仙台味噌にあったのかもしれません!

所さんのポイント
ポイント3
仙台味噌は現代人もストレスから守ってくれるはずなのだ!




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