放送内容

第1420回
2018.04.08
かがくの里・田舎暮らし の科学 場所・建物 食べ物 自然・電波・鉱物・エネルギー

 自然がテーマの科学者たちが未来に繋がる楽しい田舎暮らしを目指す長期実験企画「目がテンかがくの里」2018年春!

モヤシを栽培

 3月中旬、農業の専門家・高橋先生が今年の栽培計画を考えてくれました。去年までは、週末だけの家庭菜園でも参考になるように、週1度の手入れで育てられるイモや豆が中心。今年取り組むトマト、キュウリ、ナスは毎日手入れが必要な作物!ベランダ菜園でもマネできるそうです。

 でもその前に、実は去年収穫したものが余っているんです。生のまま保存してある大豆。去年12月に収穫したんですが。炒って豆まきをしたり、茹でてお豆腐を作ったり、味噌を仕込んだりしました。これは今年の収穫祭の時期に食べ頃に。大豆はいろいろ使ってはいますが、生のまま保存してあるのはまだ沢山。そこでモヤシ栽培に取り組みます。モヤシは豆や穀物を発芽させた新芽の部分。よくスーパーでみかけるモヤシは緑豆という豆から作られていますが、大豆を発芽させたものも「大豆もやし」として売ってます。

 露久保先生にやり方を教えてもらいモヤシ作りに挑戦です。初日は、乾燥した大豆を3倍量の水つけビンにネットをかけるだけ。

 2日目。豆が大きく膨らんだところで水を捨てます。そして段ボールの中にビンを入れ、真っ暗にして育てます。陽に当たると、芽が緑色になって、固くなってしまうからです。あとは芽が出るのを待つだけなのですが重要なポイントが!水で戻した大豆は傷みやすく1日3回以上洗わないといけません。

 発芽に適した温度は30℃付近。空調が効いた部屋に置くのがポイント。

 3日目、胚芽のところから最初の芽が出てきました。

 4日目、2~3cmに成長しモヤシらしくなってきました。

 実は大豆から新芽が出てモヤシになるとビタミンCが増えるんです。ビタミンCは発芽に必要な栄養素。ひょろっとしているけど、もやしは栄養豊富なんです。そして1週間後、ついに収穫した大豆モヤシを定番のナムルに。豆がついたまま5分ほど茹でて、ゴマ油、塩、しょうゆでササッと味付けすれば完成。去年里で採れた、ゆうだい21という品種のお米と一緒にいただきました。

ポイント1

たった一週間でモヤシ作り大成功なのだ!

木を伐採して里山再生プロジェクト

 2年前の2016年5月、かがくの里にイノシシが侵入し作物を食べられてしまいました。その原因について野生動物の専門家・山本先生は「里のすぐ裏が密林になっていてイノシシが奥の山から里のすぐ近くまで降りてこられるのが原因」と言っていました。

 そこで2016年夏、阿部さんはチェーンソー講習に通い、里山整備に必要な技術習得に向けて動いていました。そしてその年の収穫祭では、所さんにヒノキを切って頂き華々しく里山整備プロジェクト始動!ところが、収穫祭の直後、阿部さんが椎間板ヘルニアを発症し山仕事ができない状態に。今年ようやく腰が回復。2年越しの里山整備プロジェクトが動き出しました。協力して頂くのは地元森林組合の皆さん。里山整備の第一歩は、密集した木を伐って間引く間伐という作業。間伐の効果として、山に光が入りイノシシが近寄りにくくなるんです。

 そして伐った木を運び出すために必要なのが作業道というわけ。作るのは木を運ぶ運搬機が行き来する横幅2mの道。まずは、道にかかっている邪魔な木を伐ります。
 まず倒したい方向に合わせて受け口と言われる三角形の切込みを入れるんですがここが最大のポイント!倒れる方向は、この受け口の向きで決まってしまいます。

 続いて受け口の裏に、チェーンソーを入れて、最後にくさびを打ち込んでいきます。こうして目印を付けた木を全て切り倒したら今度は重機で、切り株を掘りおこしていきます。2日後、木が密集する荒れた山に見事な一本道ができていました。

ポイント2

木を切ったことで早くも陽の光が差し込むようになったのだ!

伐採した木材を再利用

 道を作るとき、沢山出た太くて立派な丸太。その再利用の方法を相談しに京都大学へ!木材利用の専門家・村田功二先生に話を伺います。大学の研究室なのにバンドサークルの部室のようですが、実は、このエレキギターを作るのが研究なんです。村田先生によると「エレキギターはこれまで大体北米の木でできていたが国産の広葉樹資材で置き換えられないかの研究をしている」とのこと。実は日本は国土のおよそ7割が森林という世界でも指折りの森林大国。でも豊かな森に恵まれているのに、現在、国産の木材は3割程度で、後は輸入材が占めています。村田先生の研究は、国産材の新たな利用法としてすべて国産材で作られたエレキギターを作ること。通常エレキギターは、ボディ・ネック・指板の3つからできています。

 中でも国産材では難しいと言われていたのがネック。弦のテンションが強くかかるため強度がないと曲がったり折れたりするんです。現在、ギターのネックには主にメイプルという外国産の固い木材が使われています。先生は、ネックに使える固い木はないか探し続け、日本の木の中から、メイプルの代わりになる木を発見したんです。それが「北海道のダケカンバという木」。主に北海道に生えている木で、その強度や特性がほぼメイプルと同じことが分かったんです。この発見により、オール国産材エレキギターがついに実現。

 そこで、村田先生に、かがくの里の裏山から出る木材の、素敵な使い方を見つけてもらいます。さっそく、村田先生と樹木の種類に詳しい京都府立大学の糟谷先生の二人にかがくの里の裏山を見て頂きました!すると「色々使えそうな木がある」とお墨付き。アコギや家具が作れると言います。

ポイント3

かがくの里の裏山は、可能性いっぱいの宝の山だったのだ!