放送内容

第1508回
2020.01.12
ちくわ の科学 食べ物

 寒さが身に染みるこの季節、あっつあつのおでんが恋しくなります。中でも、定番具材の1つが「ちくわ」。魚肉製品のスペシャリスト東京海洋大学の岡﨑教授に聞いてみると「ちくわは高たんぱく食品。タンパク質は筋肉を作ったりする重要な栄養素」ということで、優秀な食材のようです。
 そこで、ちくわのさらなる可能性を追求するべく、創業193年の老舗を尋ねました!普段は白身魚で作るちくわ。今回、職人たちも扱ったことがないトロを使って究極のちくわ作りに挑戦!いったいどんなちくわが出来上がるのか!?そして、ちくわの栄養効果がさらに高まる食べ方を研究。
 今回の目がテン!は、穴はあるけど侮れない「ちくわの科学」です。

① ちくわの謎を解き明かせ!ちくわ工場見学

 ちくわには独特のプリプリ感があります。その秘密を調べるためにやってきたのは創業190年を超える、老舗のちくわメーカーがある愛知県豊橋市。材料となる魚を見せてもらうと、イシモチやエソという魚や京料理によく使われるハモが並んでいました。いずれも白身の魚です。ここではそれらを手作業でさばきます。
 続いての工程。ここからの作業が魚肉をプリプリの食感へと変化させていきます。魚肉製品に詳しい東京海洋大学の岡﨑教授によるとプリプリの食感を生むためには3つの重要なポイントがあるといいます。

 1つめが「魚肉のタンパク質だけを取り出す」こと。
 もともと魚肉自体にも弾力はあります。しかし、筋や脂などが入り混じっているために、その部分からほぐれやすい性質があります。そこで、それらのちくわに不要なものを取り除く工程が必要なんです。それが、魚の身と、皮や骨など不要な部分を分離するこの機械。

 中には穴の開いたドラムが回っており、そこへ魚を押し付けることで魚肉だけが穴を通り出てくる仕組みです。
 取り出された魚肉を水にさらして、余計な油や水溶性の成分を取り除きます。これで、1つ目のポイントは完了。ちくわ作りに必要な魚肉のタンパク質を取り出すことができました。しかし、この段階ではまだボソボソの状態。

 2つ目の重要なポイントは、「タンパク質を溶かす」こと。
 沢山の石臼が並んだ部屋。石臼の中では先ほどほぐされた魚肉がすりつぶされていました。ここでは、タンパク質を溶かすための重要な工程が。塩ずりと呼ばれる工程です。
 練り製品の独特の弾力を作るため塩を入れます。魚の筋肉は主にアクチンとミオシンという塩に溶けるたんぱく質からできています。筋肉を構成しているときは、細長い繊維状の形をしていますが塩が入ると溶けてバラバラになります。塩を入れてすることで、溶けたタンパク質が絡まり合い、魚肉にネットリとした粘りが生まれるのです。

 さらに3つ目のポイントは「熱でタンパク質を固める」。
 塩ずりによってネットリとした魚肉が、金属の棒に巻き付けられていきます。そして800度の高温で一気に加熱します。すると、溶けたタンパク質が網目構造を作り固まります。これがプリプリの食感の正体。その時の温度が十分に高くないと、弾力がなくなってしまうことがあります。
 満遍なく火が通り、棒を抜き取ったら完成です。ちくわのプリプリとした食感の正体は、タンパク質の様々な変化だったんです。

② 目がテン!ちくわを作ろう

 非常にバラエティー豊かな練り製品。地域ごとにとれる様々な魚を使っていたことから多様な発展を遂げました。ならば!今までちくわメーカーが使ったことがない材料を使い、未知の目がテン!ちくわを作ってみます!
 高級食材を使えば、ちくわのおいしい歴史を切り開けるのでは。用意したのは、マグロの中トロ。製造方法はこちらのメーカーが昔から続けてきた方法を踏襲します。
 中トロを刻んだらミンチに、そして水にさらし脂を取り除きます。工場では、洗濯機のような機械で行われていた工程です。
 水にさらした中トロを見てみると、下がちくわになる中トロの身、そして上の部分には、脂やちくわには不要な成分が出てきます。
 水を入れ替えること4回。1回目には大量の脂が浮き、色も真っ赤だったものが真っ白な身だけになりました。

 次は、水分を絞り出して塩ずりの工程。今回は石臼ではなく、よく冷やしたフードプロセッサーを使います。すり身が完成したら、ちくわを竹に巻き付けます。そして、炭火で焼いたら完成です。
 スタジオでは、中トロで作った目がテン!ちくわを所さんが試食!その味は、0点!
 なんで、こんなに違うのか?岡﨑先生に伺ってみたところ、可能性として考えられるのは魚の肉質の違い。マグロのように活発に動く魚は、魚の死後、活動エネルギーのグリコーゲンが分解されていく過程で肉が酸性に傾きやすいんだそう。実は、「酸性の魚肉」は、そのタンパク質の網目構造をできにくくしてしまうので、あの独特な粘り気を生まないんです。

③ 新作ちくわ料理を開発!

 ちくわの効果に注目しているという、近畿大学谷本准教授。谷本先生はトレーニングの合間にちくわを食べるのにメリットがあるといいます。
 動物性の食品はタンパク質が多いが、大抵のものは脂肪もいっぱいついています。しかし、魚の練り製品は製法の過程で脂肪がとれるのでほぼタンパク質。また、タンパク質を1日に何回も取ることが重要になってくるので、ちくわは手軽に食べられるのでお勧めだといいます。
 さらに岡崎先生も、魚肉たんぱくの機能特性が注目されており中性脂肪や血圧、血糖値をさげたり、最近の研究ではガンを抑制するという報告もあるといいます。
 しかし、ちくわは塩分が含まれていたり、ビタミンが足りないなど単体では弱点もあります。でも大丈夫。ちくわには穴があります。例えば、ちくわの穴にきゅうりを入れるきゅうりちくわ。調理科学の露久保先生によると、ちくわの塩分の排出をきゅうりのカリウムが促してくれる為、有効な組み合わせだそうです。

 そこで、様々な食材と組み合わせて、目がテン!オリジナルのちくわ料理を開発することに。協力をお願いしたのはSNSなどでバズる料理を提案している料理研究家のジョーさん。
 最初にジョーさん。がチョイスした食材は長ネギ。そして、穴が大きめのちくわを用意すると、穴に長ネギを丸ごと差し込みました。これをラップに包んだら、電子レンジ600ワットで1分20秒、チン。これだけで、ネギちくわの完成。

 早速、食べてみると、おいしい!ネギちくわ大成功!
 露久保先生によると、ネギの豊富なビタミンCがちくわのタンパク質を吸収する助けになる効果が期待できるそうです。
 続いては、酒井さんが考えたちくわドッグ。ソーセージをしっかりボイルして、太めのちくわを用意して、差し込みます。

 食べてみると、ジョーさん。も高評価。露久保先生からは、タンパク質は色々な食材から摂る方が良いため、異なる肉の組み合わせはアリだという評価が。
 続いて、ジョーさん。が手にとったのはスティック状の辛いお菓子。穴に詰めたらスナックちくわの完成。

 食べてみると、スナックちくわは意外にも成功!
 この成功に気を良くしたジョーさん。続いて詰めているのはパスタ。

 今回はゆで時間2分の早ゆでパスタを使用。果たしてちゃんと茹で上がるのか?気になる完成品を所さんがスタジオで評価すると100点!所さんも大満足でした。