せんべい汁とは、肉や魚、野菜やきのこなどでダシを取った汁の中に、南部せんべいを割って入れる料理。鍋料理として食べる場合と、汁ものとして食べる場合がある。使用するせんべいは、一般的には小麦粉・塩を原料とした「おつゆせんべい」「かやきせんべい」と呼ばれるもの。これは汁もの専用に開発されたもので、煮込んでもとけにくく食べると独特の食感があるように焼き上げたもの。
食材:南部せんべい
具材:メヌケ・白菜・しめじ・豆腐・ネギ

メヌケ
大きさ約60cmの深海魚。
冬に旬をむかえ、かつ脂がのっているので鍋物には最適、静岡県以北で獲れる。
小山田煎餅店
南部煎餅好きでこの店を知らない人はいないというくらいの老舗。
細かく言うと南部煎餅ではなく三戸煎餅だそうだが、レンガの焼き器で目の前で焼いてくれる上、雰囲気のあるその店内はまさに昔ながらの煎餅屋。隠れた人気メニューは、南部煎餅の「耳」。
小山田煎餅店 青森県三戸郡
来立てならではの味「てんぽ」
「てんぽ」とは、大飢饉で知られる徳川時代の年号「天保」に由来する。
生南部とも呼ばれ、現在の南部煎餅の前身に当たる。各家庭でも作られ、凶作時の主食としたり、乾燥させて保存食にしていた。これを鍋に入れるとしっかりとつゆを吸い込み、鍋にはかかせないものになる。

南部せんべいの歴史

その昔、建徳年間(1370〜1372)に陸奥へきた長慶天皇が空腹で困っていたときに、家臣の赤松という者が近くの民家から米とそば粉を手にいれ、それを鉄かぶとでせんべい風に焼き上げて差し上げたところ、天皇はその素朴で独特な味わいに大変お慶びになった、と伝えられている。これが南部せんべいという説もある。その後、南部藩の領民が主にそばや大麦を主原料にしてそれぞれの家で焼き、主食やおやつとして食べていた。明治に入り、そば粉や大麦に代わり、豊富に出回るようになった小麦粉が主原料となった。