061124.松尾貴史さんご来場
開会2日前に実施したスーパープレビューに松尾貴史さんがご来場されました。
■■■ご覧になっての感想
観たことない作品がほとんど無いので「あー、実物だなぁ」という感じでしたが、アイデアノートであったり、エスキースとか道具とか版木等といったものと、彼のちょっと気難しい人柄というか、ラジカルで神経質な感じの雰囲気があって「あ、なるほど、こういう人だからこんな作品が出来たのだな」ということがよくわかりました。
■■■エッシャーに惹かれている点
緻密で細密で、ものすごく具象的な表現を使って“眩暈のようなものを起こしてくれる”という、今だったら簡単にコンピューターグラフィックスで作られてしまうようなものを、ここまで手間かけて、本当に内にこもってコツコツ作って、人がビックリしたり、悩んだり、錯覚を覚えたり、だまされたりするのを楽しもうという、広い意味での無邪気さに魅力を感じます。
■■■会場内のデジタルコンテンツについて
面白かったです。全部触りまくりました。科学館などにもよく置いてあったりするのですが、エッシャーの作品を使うと、それがすごく効果的に遊べますよね。木版画の世界が、指でこぅいう風に操作していくと、パースペクティブにずーっと入っていくという・・・合法的に飛んでしまっていいのだろうかという面白い眩暈ですよね。
■■■どんな方々に展覧会みてほしい?
エッシャーの作品は好き嫌いがあるとは思います・・・ある種のもの悲しさとか、エッシャーは皮肉な人だったんだと思うんですよ、世の中を斜めに見ているというか、屈折していたり、批評性みたいなものを感じる。観る人が解釈すればよいのだとは思うし、正解はないのだと思うのですが、《上昇と下降》では【上っている兵士と下っている兵士】が社会のなかで無意味な作業を繰り返しさせれられている人たちの印象がそこには喩えられているのかなとか。はじかれた人もいて、階段でうずくまっている人も一人いて、横のベランダみたいなところで、その人たちを「何やっているんだ、こいつら」って見ているような、そんな遊びのようなものがアチラコチラにあって、ただ綺麗な絵ではない、深みであるとか、イマジネーションを掻き立てられるような要素がすごくあると思うんです。右脳、左脳ってよく言いますけど、エッシャーは、すごく右も左も脳みそを使われた方だったんだろうなぁと思いました。
松尾さんにはグッズにも興味をお持ちいただき、大人気アイテムとなっているガチャガチャ(だまし絵フィギュア)とTシャツ《星》をお買い上げいただきました。お忙しいなかご来場いただきまして有難うございました!
